2022 Fiscal Year Research-status Report
早期な新生骨形成が可能な生体骨アパタイトを利用したインプラント表面処理法の開発
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19K19060
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 佳奈美 (藤田佳奈美) 日本大学, 松戸歯学部, 専修医 (00801177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リン酸カルシウム / インプラント / 新生骨 / 骨粗鬆症 / Micro-CT / 表面処理 / 組織学観察 / 骨梁構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
LeGeros R.Z.はリン酸カルシウムにMg2+, Zn2+, Mn2+およびF-をリン酸カルシウムに配合することで生体の骨と同等な生体骨アパタイト:synthetic bone mineral (SBM)の開発を行ってきた。これまでの動物実験でSBMの摂取は全身で骨形成を促進させることでインプラント治療期間の短縮に有効である可能性が示唆された。しかしながら、SBMの応用はサプリメントとして骨代謝に有用との結果はあるが、局所への応用により生体反応を明らかにした報告はない。そこで本研究はSBMを表面処理したインプラントを骨粗鬆症モデルのラット大腿骨内へ埋入することで、インプラント周囲に形成される新生骨に着目し、SBMの表面処理が早期な骨形成や骨質向上への有用性を明らかにする。インプラントはTi-6%Al-4%V合金製で、サイズは直径1.2mm、高さ4.0mmの円柱とし、上端から0.5mmの位置に引張試験用の通し穴を作成した24本を用いる。その24本のインプラントはブラスト処理:12本と、ブラスト+SBMコーティング処理:12本を用意する。実験は8週齢24頭のWistarラットを用い、9週齢時に全身麻酔下で左側大腿骨にインプラント埋入手術を行う。埋入2週と4週後に屠殺を行い、体重測定、引抜き強度, 骨密度,骨密度イメージングおよび病理観察による比較を行った。統計は2群間をStudent’s-Ttestで検定した。インプラント埋入2および4週後で引抜き強度, 骨密度でコントロール群と比較してSBM群は有意に高い値となった。また、骨密度イメージングおよび病理観察ではコントロール群と比較してSBM群はインプラント周囲に形成された新生骨は骨幅が太くなり、高いBMDとなった。SBMはミネラルを補充しつつ、骨代謝を促進させて骨形成を優位にさせる材料であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、実験によって得られたインプラントを埋入したラットの大腿骨を用いてデータの収集を行っている。 育児休暇よし復帰後インプラント埋入により新たに形成された骨の状態を非脱灰標本を用いて顕微鏡観察および、実験で行ったインプラント引き抜き試験や大腿骨破断試験のでデータの統計処理を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
標本製作会社に依頼した非脱灰標本を用いてRAMAN分光分析のイメージング像の分析を行う。RAMAN分光分析にて有機質と無機質の分子含有比率から石灰化の変化をカラー像で表示し観察を行う。さらにMicro-CT撮影画像をTRI/3D Bon BMDソフトにて分析することにより、有機質と無機質の分子含有比率と骨密度の3次元カラー分布を提示することで石灰化度の相関性が明らかにする。 上記の観察結果と引き抜き試験のデータを統合し、論文の執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大および妊娠中のため参加予定していた国内2つの学会がweb参加となり、出張旅費を執行しなかったため次年度使用が生じた。次年 度はこれまでの成果をまとめて、英文校正および論文投稿料に充てる。
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