2021 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント周囲炎に対するプロバイオティクス・アプローチの確立
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19K19061
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
蓮池 聡 日本大学, 歯学部, 講師 (60636413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / チタン顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度はまず遺伝子発現データベースである NCBI GEO(Gene Expression Omnibus)を用いて、 インプラント周囲炎罹患患者および健常対照者の口腔内組織サンプルのトランスクリプトーム解析遺伝子発現データセットの抽出を行った。インプラント周囲炎は、インプラント周囲の軟組織バリアに破壊的な炎症が生じる疾患で、歯周炎とは大きく異なる炎症メカニズムが示唆されている。遺伝子解析の結果、疾患組織では特定の細胞経路発現が増加していることが示された。発現が上昇した経路はインプラント由来のチタン粒子による微小環境の変化を示唆するものであった。 遺伝子発現データベース解析に基づき、培養骨芽細胞MC3T3-E1に対するチタン顆粒の影響をq-PCRにて評価した。LPS、Ti顆粒、LPS+Ti顆粒を細胞に24時間作用させ、TLR4およびRunx2の遺伝子発現を検証した。その結果、TLR4の発現には差は認められかったものの、LPS群、Ti群、Ti+LPS群でRunx2の発現は低下した。この結果は、チタン顆粒の存在により、骨芽細胞分化が抑制され、骨形成が阻害される可能性を示唆している。 さらに同一実験系に対して、乳酸菌由来細胞外小胞を作用させた検証をおこなった。Lactobacillus paracasei から生成された培養上清から超遠心分離法によりEV画分を精製したものを作用させた。結果、骨形成阻害作用の減弱が認められた。このことことはチタン顆粒を発端としたインプラント周囲炎に対し、プロバイオティクスが作用し得ることを示唆した結果といえる。
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