2020 Fiscal Year Research-status Report
FGF受容体シグナル阻害を用いたインプラント周囲炎骨欠損に対する骨再生療法の確立
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19K19069
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横井 美有希 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (90826869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 線維芽細胞増殖因子2 / FGFR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インプラント周囲炎により生じた骨欠損に対して、局所的なシグナル阻害により骨再生を促進する組織再生療法を開発することを目的としている。 これまでの組織再生療法では、成長因子/サイトカインの添加が主なアプローチであったが、本研究では、生体内で抑制的に働いているシグナルに焦点を当て、細胞実験を行っている。 これまで、申請者は、マウス歯髄細胞(間葉系細胞)において線維芽細胞増殖因子受容体(FGF)2bシグナル遮断をすることで象牙芽細胞の分化、象牙質の形成を促進することを報告した(2019)。歯周組織再生剤として使用されているFGF2は、幹細胞の未分化能を維持し、血管内皮細胞などの上皮系細胞や間葉系細胞の増殖を促進する作用が知られている。これまで、マウスおよびラットの大腿骨から骨髄細胞を採取し、継代培養により実験に必要な細胞を確保し、FGF2およFGFR2シグナル阻害剤が間葉系細胞に与える影響について検討するために、FGFR阻害薬を使用して実験を行っており、FGFR選択的阻害薬AZD4547は、骨髄単球細胞においてRANKLおよびM-CSFにより誘導される破骨細胞形成を抑制することが報告されている(Jinho K et al.,2018)ことから、現在、この試薬を用いて実験を行っている。細胞実験では、上皮間葉組織の共培養を行い、FGF2およびFGFR阻害薬の投与時期や他のサイトカインの併用効果を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度中に細胞実験を終了させ動物実験を行う予定であったが、細胞実験の結果が安定しなかったため再実験を行っていること、さらに、使用薬剤の入手に時間がかかったことから、細胞実験に必要な期間が予定より大幅に延長している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は骨髄細胞(間葉系細胞)を使用して実験を行っているが、FGFは上皮・間葉組織相互に作用するため、上皮系細胞と間葉系細胞の共培養を行って検討を行う予定である。本来の予定では、本年度は動物を用いてインプラント周囲骨欠損モデルを作製し、FGF阻害薬を用いた骨造成について検討予定であった。したがって今後は、細胞実験と並行して骨欠損モデルを作製する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の細胞実験に遅れが生じたため、予定していた薬品・試薬・物品の購入が本年度は必要なかったため。来年度は、細胞実験の続きと動物実験を行う予定である。
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