2019 Fiscal Year Research-status Report
Challenging for dental care of photodynamic therapy on EBM
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19K19076
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小峯 千明 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60708577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗菌的光線力学療法 / 一重項酸素 / 酸化チタン / 殺菌メカニズム / 光線力学診断 / 口腔癌スクリーニング / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は大きく4件の報告を主な論文業績として残した。 1件目は、Candida albicansのバイオフィルムに対して抗菌的光線力学療法 (a-PDT)を行い、発生した一重項酸素(1O2)発生量と菌体の破壊のメカニズムを走査型電子顕微鏡を用いて観察することでその一助を解明した。2件目は、一重項酸素を特異的に消去するアジ化ナトリウムを用いることによって、殺菌効果を認めなくなったことからa-PDTの殺菌メカニズムが1O2であることを証明した。3件目として、酸化チタン(ルチル型)を生理食塩水内で混和して、その可視光領域である励起波長405nmLEDを照射し、そこから発生する活性酸素種を口腔内感染症の原因菌であるグラム陽性菌(Streptococcus mutans, Staphylococcus sobrinus, Emterococcus faecalis)やグラム陰性菌(Porphyromonas gingivalis, Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Tonnerella forsythia)を暴露させその殺菌効果を評価した。その結果、1O2発生量をコントロールすることより選択的に殺菌を行える可能性を示唆した。4件目はナノバブル水に対して超音波を用いることで発生した活性酸素種で根管内殺菌について試み、発生したヒドロキシラジカルが殺菌効果をし認めたことを示唆した。 現在、アミノレブリンサンを用いた光線力学的診断によって口腔癌の早期発見に向けて、一般開業医においても容易に迅速スクリーニングが可能となる方法にむけて予備実験を取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、英文紙3本、和文誌3本を筆頭あるいは共著者として論文掲載したため、上記の選択をした。しかしながら、活性酸素を測定する電子スピン共鳴装置のメインテナンスなどで使用できない期間があったため、次年度は考慮して研究の進行を組み立てていきたいと考えている。そこで、電子スピン共鳴装置を用いずに活性酸素の測定することも視野に入れ、基礎的なデータを積み重ねていきたい。現在までの研究は臨床応用または日常における応用を目的として行っているが、いまだ使用する薬剤の生体に対する安全性は検討できていないため、細胞実験にやや遅れが生じてしまっている。さらに現在までの研究は光線力学反応から発生した活性酸素種を中心に論じているものが多いため、活性酸素種に暴露された生体・材料・細菌などにも焦点を当てて研究を行う必要があると考える。 以上の進歩状況を鑑みて、次年度では(1)を選択できるように努力していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず、上記に記載したようにまずアミノレブリン酸を使用した光線力学診断の基礎データを取得し、本学倫理審査委員会にて承認後、実際に病理診断を目的とした擦過細胞を用いて蛍光マイクロリーダーを用いてスクリーニングが可能かを検証していく予定である。 また、半導体レーザーをヒト歯髄培養細胞に照射することで硬組織形成能が促進するといったデータを有しているのでその原理にあたる細胞内光受容物質の挙動に焦点を絞りdentinogenesisのメカニズムを検討していきたいと考えている。しかし、光受容物質を介して発生する活性酸素種はナノ秒レベルでの挙動を呈するため電子スピン共鳴装置にて測定が困難な場合はMitoROSなどの測定キットなどを駆使して行っていきたい。 さらにa-PDTについては根管内殺菌に用いることを想定しているため、ヒト抜去歯に対してa-PDTを作用させ、1O2に暴露された際の象牙質が形態学にどのように変化を示すものか、またそれによってレジン系材料(根管充填用シーラーやレジン築造用)に対する接着強さに影響が生じるかを検討していき、論文報告していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年3月18~21日に開催予定であった国際学会が新型コロナウイルス感染予防対策として参加できなかったため繰り越しになってしまったものと考える。早期に不参加が決定したため、その分を論文校正に充てた。 残額は次年度のディスポーザルピペットなどの消耗品の器材に充てていきたいと考えている。
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[Journal Article] "Bactericidal Effect of Antimicrobial Photodynamic Therapy Using Visible Light-responsive Titanium Dioxide -the First Report-"2020
Author(s)
Chiaki Komine, Chitaka Takahashi, Hiroko Omori, Yuki Ogura, Yoshimi Konishi, Hidenori Suzuki, Otsuka Issei, Mana Fuchigami, Osamu Tsuzukibashi, Akira Fukatsu, Yasuhisa Tsujimoto, Masahiko Fukumoto
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Journal Title
International Jounal of Oral-Medical Sciences
Volume: 18 (3&4)
Pages: 155-163
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] 一重項酸素発生抑制時における抗菌的光線力学療法の殺菌効果2019
Author(s)
小峯 千明, 小西 賀美, 小倉 由希, 大森 寛子, 鈴木 秀紀, 中島 麻友, 伊澤 万貴子, 渕上 真奈, 続橋 治, 深津 晶, 若見 昌信, 内田 貴之, 村上 洋, 福本 雅彦
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Journal Title
日大口腔科学
Volume: 45(4)
Pages: 164-172
Peer Reviewed / Open Access
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