2021 Fiscal Year Research-status Report
A novel technique for nerve regeneration with adult human epithelial progenitor/"stem cells" keratinocyte
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19K19077
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮澤 敦子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00706997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケラチノサイト / 口腔粘膜 / 幹細胞 / 幹細胞様細胞 / ePUKs / 多分化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、再生医療の現場では骨髄や歯髄等の多能性幹細胞の有用性に注目した様々な研究が行われている。しかし臨床現場で必要となる質の高い十分量の幹細胞を採取、または生産することは難しい。我々は、ミシガン大学顎顔面口腔外科学分野のFeinberg研究室との共同研究でヒトの口腔粘膜や皮膚組織より単離したケラチノサイトから幹細胞様ケラチノサイト(ePUKs: epithelial Pop Up Keratinocytes)を独自の方法で生産・培養しその生物学的評価を行っており、ePUKsに多分化能があると考えている。そこで、口腔外科手術後の運動神経麻痺や知覚神経麻痺の治療にこのePUKsを応用した神経再生を目指した新たな再生医療の道を開く画期的な研究を計画立案した。再生医療に注目が集まる骨髄や歯髄等の幹細胞に比べて、ePUKsは採取が容易で、かつ一度に大量の幹細胞様ケラチノサイトを生産・培養することが可能であり、将来の臨床現場でその他の多能性幹細胞に代わる上皮や神経の再生医療の即戦力となるのではないかと考えている。本研究課題ではヒト口腔粘膜ケラチノサイトから産生されたePUKsの神経分化評価をin vitro 実験およびePUKs移植脊髄損傷モデルマウスを用いたin vivo実験で行うことを目的とした。 当該年度はin vitroでのePUKsの生物学的評価において、ePUKsは単層培養ケラチノサイトと比較してより幹細胞に近いという結果を得た。その細胞サイズは小さく、免疫蛍光染色では単層培養と比較してより多くの幹細胞マーカーの発現も確認した。またePUKsが発現する増殖因子(Epidermal Growth Factor, vascular endothelial growth factor, Fibloblast Growth Factor 2)の量は単層培養と比較して有意に高い値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度はコロナ禍の影響で口腔粘膜の採取が困難であったため、in vitroでの生物学的評価を進めていくのに時間を要してしまった。本来であるならば繰り返し行う予定であった実験を単回にするなどして時間の短縮を図ったが思うように進まなかった。そのため、現時点で行える評価をしようと考え、当初の予定には組み込まれていなかった実験を追加するなどしてその他、できる範囲内で多くのデータ採取を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
主に当初の当該年度予定であった動物実験を進めていく予定である。それに先立ってin vitroでの神経分化培養と動物実験のためのモデル作りに着手する。神経細胞分化培養では再び培養実験を行うための口腔歯肉検体が必要となってくる。コロナ禍での検体採取に困難を要する可能性も見込まれるが、ePUKsの生態学的評価はすでに終了しているため、追加実験が必要ではない限りは前回ほどの検体が必要になることはないと考えている。動物実験はラットを用いて行う。そのため、脊髄損傷モデルラットの作製は初めてとなるので、スムーズに動物実験に入れるように前もってモデル作製の手順を習得しておく必要がある。
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Causes of Carryover |
当該年度は、コロナ禍の影響で、検体を必要とする本実験は当該年度の予定としていた実験内容が思うように進まなかった。そのため急遽、限られた検体を用いて限られた実験を行うこととなった。それにより当初の予定使用額をすべて使用することはできずに次年度使用額が生じてしまうこととなった。次年度は主に動物実験を行うための動物購入費用と飼育費、そして研究の集大成としての学会発表ならびに論文作成を予定しているため、十分に使用できる金額であると考えている。
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