2020 Fiscal Year Research-status Report
味覚の再生に向けた改良型味蕾オルガノイドの作製と移植技術の開発
Project/Area Number |
19K19080
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤田 恭平 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病態代謝部, 非常勤研究員 (10835383)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 味覚 / オルガノイド / single cell RNA-seq / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は抗がん剤の副作用で消失または減少した味蕾を再生させ、味覚の再生に繋げる治療 法の開発を最終目標とし、手始めとして、再生治療の鍵となる味蕾オルガノイドを、味細胞 をより多く分化させた状態で作製する培養法を確立することを目的としている。 幹細胞マーカー遺伝子によるcell sorting後のorganoid形成率を向上させる上で、R-spondin 1と共にWnt signaling pathwayを活性化させるためのWnt3a-conditioned mediaの使用やNotch signaling pathwayのリガンドとして働くJagged-1の添加、またIGF-IやFGF2の添加によってEGFR signaling pathwayの働きを補助させる事が有効である事がわかった。現在、その他のfactorや低分子化合物の添加による幹細胞から味細胞への分化効率の上昇をさらに検討中で、いくつかの化合物を培養液に添加する事で味細胞の分化を促進できる事が分かってきた。 またそれに関連して、さらに有効な因子の候補を絞るために10X Chromiumシステムを用いた舌上皮のsingle cell RNA-seqを行なっており、舌上皮に存在する上皮細胞や味蕾幹・前駆細胞、各種味細胞の遺伝子発現解析やpseudotime analysisなどを行っている。今後、改良型味蕾オルガノイドの作成が進行すれば、それらのsingle cell RNA-seqも予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Lab移転に伴う旧Labの閉鎖および新Labのセットアップ作業が予定より長引き、通常の研究活動ができない期間が半年以上続いている。現在、機器のセットアップ作業やサンプルの移設、実験動物の立ち上げなど環境整備を行なっているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究環境が整備され次第、味蕾organoidの改良研究を再開し、それらをサンプルとしたsinlge cell RNA-seqも計画している。RNA-seqから得られた知見を基に、さらに味蕾organoidの改良を行い、Ca2+イメージングなどの手法を用いて味刺激をした際の機能評価を随時行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
Lab移転に伴い年度の後半は研究活動がストップしたために助成金の繰越が発生した。実験系の立ち上げに最低限必要な備品、試薬などの購入に一部を充て、立ち上げ後はこれまでの予定通り、実験に必要な物品類の購入やRNA-seqの受託費用として支出を行う。
|