2021 Fiscal Year Research-status Report
味覚の再生に向けた改良型味蕾オルガノイドの作製と移植技術の開発
Project/Area Number |
19K19080
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤田 恭平 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 非常勤研究員 (10835383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 味蕾 / オルガノイド / scRNA-seq / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は抗がん剤の副作用で消失または減少した味蕾を再生させ、味覚の再生に繋げる治療 法の開発を最終目標とし、手始めとして、再生治療の鍵となる味蕾オルガノイドを、味細胞をより多く分化させた状態で作製する培養法を確立することを目的としている。 本年度は舌上皮細胞の10x chromiumシステムを用いたsingle cell RNA-seqの解析を中心に行った。Sox2-GFPマウスから単離した上皮細胞 (5,122細胞)のうち、QCによる低品質の細胞やSox2陰性の細胞、Ki67陽性の比較的分化の進んだ細胞を除き、クラスタリングを行った。その結果、Lgr6陽性の味細胞前駆細胞クラスターやKrt4-high/Krt13-high/Krt14-lowの上皮分化細胞クラスター、Krt4-low/Krt13-low/Krt14-highの未分化上皮細胞クラスターに分類することができた。次に、StemIDアルゴリズムを用いた味蕾幹細胞集団の推定を行った。その結果、StemIDスコアの高い複数のKrt14-highクラスターが得られ、それらのクラスターにおける特徴遺伝子群のGO解析の結果と合わせて、単一の幹細胞クラスターを同定することができた。またこのクラスター特異的なマーカー遺伝子Xを同定することもできた。次に、遺伝子X陽性幹細胞クラスターを基点とした舌上皮細胞のpseudo-time analysisをMonocle3及びSTREAMによって行った。その結果、幹細胞クラスターからの軌跡は、Krt14+Lgr6+味蕾細胞とKrt4+Krt13+分化上皮細胞の2つの軌道に分けることができた。また、Monocle3の解析からはKrt14の発現量の増強に伴いLgr6の発現量が増加するのに対し、遺伝子Xの発現量は時間とともに減少することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
scRNA-seqの解析結果などから同定した味蕾幹細胞に関する論文を投稿中ではあるが、Lab閉鎖に伴いその後の解析は思うように進められていない。現在、新しい所属先でのセットアップを急いでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい所属先は齧歯類の神経生理学に精通した研究室であり、今後は生体やオルガノイドなどを用いてトランスクリプトーム解析と神経生理学を融合させ、味覚情報の神経伝達基盤に迫りたい。
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Causes of Carryover |
令和3年度でLabが閉鎖することが急遽決まり、年度の後半は研究に関する支出が減ったため。次年度は新しい所属先でのセットアップがあるため、必要な消耗品などを揃える必要があり、計画的に支出する予定。
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