2020 Fiscal Year Research-status Report
疲労時の変形挙動に着目したCAD/CAM冠の至適材料学的特性の探究
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19K19083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 章生 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40757267)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンポジットレジン / CAD/CAM / 接着性レジンセメント / 弾性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAD/CAM製硬質レジンクラウン(CAD/CAM冠)は我が国で保険収載され広く普及している。大臼歯部への適用拡大にあたりその破折強度や、小臼歯と同様、脱離が生じやすいことに関する懸念がある。臨床トラブルの原因として考えられるのが、CAD/CAM冠の弾性係数が小さいことによるクラウンの変形や応力の集中による破壊である。CAD/CAM冠の臨床トラブルを回避するために、支台歯の性質やセメントの性質、あるいはその組み合わせが与え得る影響について調査する必要がある。 厚み90μmに設定した弾性係数の異なる2種類のセメント(コンポジット系レジンセメント・MMA系レジンセメント)、および同様に弾性係数の異なる2種類の支台材料(ステンレス支台・築造用コンポジットレジン支台)を用意し、CAD/CAM用硬質レジン板状試料を合着した。上記の各条件で4群を設定し、万能試験機を用いて、φ4.0mmの圧子で圧縮試験を行い、複合試料の破折強度を評価した。二元配置分散分析の結果、支台歯材料、接着性レジンセメントおよび交互作用に有意差を認め、全群でのTukey-Kramer HSD post-hoc testを行った結果、ステンレス支台/コンポジット系レジンセメントを使用した群が他の群と比較して有意に低い破折強度を示した(α=0.05)。 上記の試料形態でアコースティック・エミッション(AE)試験を行い、荷重時の微小な破壊の音波を収集し破壊エネルギーを評価した。解析途中であるが、音の発生は条件によって異なる傾向にあることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種材料の試料形態が定まったが、圧縮試験の結果のみが得られている。破折の前駆段階の挙動に注目するため、当初予定になかったアコースティックエミッション試験を追加で行っている。 ひずみゲージを用いた試料変形の試験を始めているがデータの解析が未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
複合試料での破壊試験の結果に有意差を認め、その原因の解析を行う。アコースティック・エミッションによる破壊の前駆段階の微小な音を拾うことで試料の変形に関わる解析を行う。また、ひずみゲージを用いた試料の変形の実測値の解析を行う。 破壊様相を分類し、群による差を比較し、応力分布の違いを示唆する所見を見出す。
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Causes of Carryover |
オンラインによる学会開催により旅費が削減されている。物品費に関して、コンポジットレジン系の材料試験のみ実施しており、セラミック系の材料試験まで至っていない。翌年度は破壊試験結果を裏付ける、ひずみゲージ試験、アコースティックエミッション試験、および破折様相観察のための電子顕微鏡使用等に充てる予定である。
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