2020 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病罹患者に対する部分床義歯治療の指針確立に向けて
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19K19085
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡邉 知恵 昭和大学, 歯学部, 助教 (40801519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,糖尿病罹患率の増大は国内でも問題となっているが,糖尿病患者に対する部分床義歯による補綴治療に対して,歯周組織への影響や予後を考慮した治療の指針というのはまだ確立されてない.本研究は,部分歯列欠損患者の義歯装着後の歯周組織の経時的変化を多角的に評価することで,糖尿病罹患者に対する部分床義歯治療の指針を確立することを目的にしている. 本年度は,まず後ろ向き研究の追加データの解析・論文発表を行った.昨年度学会発表を行った際の研究データに,PPD(歯周ポケット),動揺度,BOP(プロービング時出血),CEJ-BCL(セメントエナメル境‐骨縁)距離を含めた歯周組織検査の経時的変化を加え,解析を行った.糖尿病群では,5年経過時の骨密度の減少に加え,CEJ-BCL距離の変化量についても有意な増加が認められた.こちらの研究結果は,国際誌(Journal of Prosthodontic Research)への論文発表を行った. また,上記のデータを含むレントゲン上の測定値を予後因子として多変量解析を行うことで,部分床義歯支台歯の喪失因子の分析も行った.こちらのデータは,今年度の国内学会にて発表予定であり,論文投稿についても進めている.さらに,糖尿病罹患者と健常者を対象とした前向き研究については,後ろ向き研究の歯周検査,レントゲン検査に加え,咬合力検査,唾液検査なども調査項目に追加し,倫理審査委員会の承認を得られた.そのため,現在患者のリクルートおよびデータ取得を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査委員会の承認を得られたものの,新型コロナウイルス感染症流行による2度の緊急事態宣言の影響もあり,大学病院でのリクルートは予定通り順調に行えていない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
前向き研究については,今年度同様,患者のリクルートおよびデータ取得を継続していく. また,研究代表者は所属を基礎講座へ移したため,今後は糖尿病の骨質の変化および改善を目指したin vivoの動物実験を計画している.糖尿病が歯槽骨,および骨以外の歯周組織に与える影響について,臨床的観点および基礎的観点両方向から検討していくことを目標とする.
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Causes of Carryover |
参加予定をしていた海外学会が中止になったことが大きな要因として考えられる.また継続中の前向き研究の進行状況はやや遅れており,被験者への謝礼等の必要経費が,次年度に繰り越されることになった. 使用計画としては,前向き研究の進行にともない必要な謝礼に割り当てるとともに,計画している糖尿病モデルマウスをもちいた基礎研究の各種必要経費にも割り当てる予定である.
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