2021 Fiscal Year Annual Research Report
変形性顎関節症の原因となる下顎頭軟骨細胞老化メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K19088
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北見 恩美 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (00834772)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顎関節 / 老化 / プライマリーシリア / 変形性顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎関節を構成する下顎頭軟骨は咬合力等の機械的負荷に対する緩衝材としての役割を持つ。しかしながら、加齢に伴い保水性、粘弾性をもつ細胞外基質プロテオ グリカンの産生が減少し関節軟骨の緩衝能が劣化することが示唆されている。申請者らはこれまでプライマリーシリア(以下シリア)が下顎頭軟骨の恒常性維持過程において細胞外基質の産生に必要であることを明らかにしている。本研究は、細胞外基質の産生減少を伴う下顎頭軟骨の老齢変化とシリアが関連しているとの仮説のもと、老齢マウスを用いてシリアを介した下顎頭軟骨の老化メカニズムを解明することを目的とし、加齢に伴うシリア発現の変化および、細胞内情報伝達変化の解析を行った。 加齢に伴う関節軟骨の形態変化と軟骨細胞成分および細胞外基質の減少が明らかとなった。さらに、細胞外基質分泌の中心的な役割を担うゴルジ装置は加齢に従いその体積が縮小することを明らかにした。また、5週齢から78週齢のマウスから顎関節組織を採取し、顎関節軟骨組織におけるシリアの発現を観察した。若年マウスの軟骨細胞にはシリアが発現しているが、老齢マウスではシリアが消失している軟骨細胞が多数観察された。さらに加齢に伴い、ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)シグナリングの標的であるS6リボソームタンパク質のリン酸化が抑制されることが明らかとなった。 以上より、軟骨組織の加齢変化にはシリアを介したmTORシグナリングの変化が関連している可能性が考えられる。
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