2021 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲の骨吸収発生予知を目的とした歯槽骨骨密度評価の有用性の検討
Project/Area Number |
19K19090
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒崎 陽子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90759664)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 歯槽骨密度 / 歯槽骨吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,開発したインプラント体周囲al-BMD評価法の構成概念妥当性を検討した.岡山大学病院歯科・口腔インプラント科部門にてインプラントメインテナンス中の患者が有するインプラント体のうち,インプラント体周囲の骨吸収に加え,プロービング時にインプラント周囲溝からの出血あるいは排膿を認めるインプラント体(インプラント周囲炎罹患インプラント体)を対象に,デンタルエックス線撮影を行った.その後市販ソフトウェアを用いて,デンタルエックス線画像上のインプラント体周囲の骨吸収部位,骨吸収進行予測部位ならびに非骨吸収部位の3部位のal-BMD値を測定した.そして,設定した3部位のal-BMD値に差があるかを統計学的に比較した(Friedman検定,Bonferroni法). 患者13名(撮影時平均年齢71.8±6.5歳,男/女:5/8名)で撮影した22枚のデンタルエックス線画像を用いて29本のインプラント体(上顎/下顎:15/14本,前歯部/臼歯部:5/24本)周囲の骨吸収部位,骨吸収進行予測部位,非骨吸収部位のal-BMD値を測定した.その結果,骨吸収部位,骨吸収進行予測部位,非骨吸収部位のal-BMD中央値(第1四分位,第3四分位)は94.3(74.6,110.1),115.4(99.4,136.6),143.7(128.9,163.3)で,3群間に有意な差を認め(p<0.01),骨吸収部位は骨吸収進行予測部位と非骨吸収部位よりも有意にal-BMD値が低く(p<0.01),骨吸収進行予測部位は非骨吸収部位よりも有意にal-BMD値が低かった(p<0.01).このことから,インプラント体周囲al-BMD評価法の構成概念妥当性が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延に伴い,感染防止対策の観点から研究目的でのデンタルエックス線撮影が難しい状況となり,予定していたサンプリングに遅れが生じたため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.インプラント周囲炎罹患インプラント体を有する患者のサンプリングを継続する.対象者の臨床診査およびインプラント体部位のデンタルエックス線撮影を実施し,撮影したデンタルエックス線画像からインプラント体周囲al-BMD値を測定する.そして,検者内一致度と検者間一致度を級内相関係数を用いて算出し,インプラント体周囲al-BMD評価法の信頼性を確認する. 2.インプラント周囲炎罹患インプラント体を有する患者を対象に,インプラント周囲炎部のデンタルエックス線撮影および臨床診査を行いながら追跡調査を行う.そして,インプラント体周囲al-BMD値の経時的変化とインプラント体周囲の骨吸収の経時変化との関連を検討する. 3.インプラント体周囲からの排膿は認めるが骨吸収がまだ発生していないインプラント周囲粘膜炎罹患インプラント体を有する患者を対象に,インプラント周囲粘膜炎部のデンタルエックス線撮影および臨床診査を行いながら追跡調査を行う.そして,インプラント体周囲al-BMD評価法のインプラント周囲炎予測精度の検証を実施する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延に伴い,研究目的でのデンタルエックス線撮影が難しい状況で,サンプリング開始時期に遅れが生じたため次年度使用額が生じた. 感染防止対策を強化し,研究対象者のデンタルエックス線撮影を開始したが,次年度も継続してサンプリングを行う.次年度に,診査キットの購入費用,デンタルエックス線撮影費用や得られた研究データをセキュリティーレベルが高くデータの信頼性保証体制が確立された専用システムで管理するための費用として,経費を使用する予定である.
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