2020 Fiscal Year Research-status Report
人工知能による機械学習を応用した咀嚼・嚥下運動の医療画像診断支援システムの開発
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19K19091
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
逢坂 卓 岡山大学, 大学病院, 医員 (70823954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 咀嚼障害 / 人工知能 / 嚥下障害 / 咀嚼運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,咀嚼運動を携帯型深度センサーカメラで撮影した動画から評価できる「運動障害性咀嚼機能評価プロトコール」の構築を試みることを目的とし,摂食時に撮影した動画から咀嚼・嚥下運動の評価を行うために,2020年度は撮影用アプリケーションの開発を進めてきた. 撮影した動画から運動データ収集方法および解析方法の検証を行い,最適な撮影角度や嚥下運動を評価するためのマーカーの設定位置を決定した.そして,それらの情報を撮影用アプリケーションに反映させ,両側第二小臼歯部まで連続した咬合支持を有する健常者を対象とし,開発した撮影用アプリケーションを利用し,摂食時の動画撮影を開始した.まず,臨床研究への協力に同意を得た健常者6名(平均年齢32歳,男/女:4/2名)を対象に,健常咀嚼と診断された者の物理的性質の異なる食品(バナナ,ハム,りんご,ピーナッツ,スルメ等)を摂取する際の動画を複数回撮影し,解析して精度分析を行った.そして,口唇の閉鎖の有無,咀嚼側に偏る下顎の回転運動、口角の咀嚼側への牽引の運動に対する評価が十分行えることを確認した.さらに,これらの運動データは,AIによる画像診断技術を応用し,AIによる運動障害性咀嚼障害や嚥下障害の診断が可能かどうかを確認することを目的とした,健常咀嚼の教師データとしても使用する. また,咀嚼障害等を有する高齢者でのデータ収集に向けて,研究計画を倫理審査委員会に申請し,承認を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静止画ではなく動画による人工知能学習は前例が少なく,咀嚼・嚥下機能の専門家,動画解析プログラムの専門家や人工知能学習プログラムの専門家等,複数の専門家との情報交換を行いながら,動画解析の精度の向上を目的に,慎重に準備を進めている.新型コロナウイルスの影響もあり,患者データの収集は若干遅れているものの,概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,新型コロナウイルス感染症の対策を講じた上で,患者でのデータ収集を開始する.まず両側第二小臼歯部まで連続した咬合支持を有する患者のうち経口摂取が可能な者50名を対象に,開発した撮影用アプリケーションを使用し,摂食時の動画撮影を行う.そして,臨床データおよび口腔機能検査結果から教師データを作成し,人工知能に学習させる.そして,口腔機能検査結果等に基づく専門医の運動障害性咀嚼障害診断結果と,人工知能学習による動画からの診断結果の感度・特異度を算出し,人工知能診断プログラムの検証を行う予定である. 1.開発した専用の動画データ収集用アプリケーションを用いて,研究協力の同意が得られた患者の動画データおよび臨床審査データの収集を実施する. 2.撮影した動画データ及び診断結果を人工知能に学習させ,診断アルゴリズムの作成を行う.そして,専門医の診断結果(ゴールドスタンダード)とAIの診断結果の診断精度を確認・比較しながら,診断アルゴリズムのブラッシュアップを行う. 3.得られた研究結果を学会および論文で発表する予定である.
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Causes of Carryover |
動画解析の精度検証に予定より期間を要したこと,新型コロナウイルス感染症のために患者を対象とした調査の実施が難しかったことから,臨床診査データの取得に必要な物品等の経費を次年度に使用することとなった. 今後,研究協力の同意が得られた患者の動画データおよび臨床診査データの収集を行うに当たり,検査に必要な物品等に経費を使用する.
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