2020 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の新規未分化性維持因子トリプトファンを用いた骨質改善治療法の開発
Project/Area Number |
19K19092
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
國友 由理 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (30837381)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / トリプトファン / 必須アミノ酸 / 口腔インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,必須アミノ酸の一つであるトリプトファンが骨髄内の間葉系幹細胞の幹細胞性維持に関わり,骨質改善や骨の創傷治癒を促進させるというこれまでの知見を基盤に,トリプトファンの幹細胞性維持メカニズム,骨形成促進メカニズムを分子生物学的に明らかにし,口腔インプラント治療の応用技術の開発ならびに骨粗鬆症の予防や治療を目的とした創薬の開発に繋げることを目的としている. 本年度は,トリプトファンの投与が骨粗鬆症の予防・治療に有効かさらに詳細に検討した.具体的には,これまでにマウスにトリプトファンを腹腔内投与してきたが,経口投与の有用性を検討した.その結果,腹腔内投与では,対照群と比較し,トリプトファン投与群において,大腿骨のbone mineral density,bone volume/total volume, trabecular number, trabecular thickness等のパラメーターが有意に上昇したが,経口投与群ではこれらのパラメーターに変化は認められなかった.また,通法に従い,脱灰・パラフィン切片を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行った.その結果,経口投与群では,海綿骨の増加は認められなかった.本結果は,全身投与されたトリプトファンの効果は,トリプトファンの代謝経路が大きく関わっている可能性が示唆しており,今後は,トリプトファンの代謝経路も含め,詳細に検討していく予定である.また,骨代謝において重要な役割を担っている間葉系幹細胞 (Cxcl12-GFP Tgマウス),骨芽細胞 (Col1a1-GFP Tgマウス),破骨細胞 (TRAP-Tomato Tgマウス) が可視化可能なトラッキングマウスを用い,上記の細胞がトリプトファン投与により骨髄内でどのような挙動をとり,骨形成に関わっているか検討を行っている.
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