2019 Fiscal Year Research-status Report
プラットフォームスイッチングにおける骨吸収抑制因子の解明と最適な臨床応用法の開発
Project/Area Number |
19K19097
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 麻貴 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (50757987)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 歯科インプラント / プラットフォームスイッチング / 3次元有限要素法 / FEM |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラントについて機能負荷開始後のインプラント周囲骨吸収が臨床的問題となっている。本研究では、そのような骨吸収を抑制できるとされているプラットフォームスイッチングがどのような機序で骨吸収を抑制するのかについて力学的な観点から明らかにすることを目的としている。 3次元有限要素法を用いて、プラットフォームスイッチングを用いたアバットメントーインプラントの連結体について解析を行うこととした。昨年度までの実績として、従来の同様の研究と比較して、インプラント・アバットメント・アバットメントスクリューを一体とした連続型のモデルでの解析が行われてきたが、骨吸収を抑制する力学的要因をさらに詳細に解析するために、それぞれのコンポーネントが独立するように、境界条件を接触状態とした独立型のモデルを作成しその有用性を確認できた。 CADデータの作成に関しては、実在するインプラント体、アバットメント、スクリューの製品をレジン包埋にて標本化、顕微鏡やSEMによる実測にて作成。同モデルによると、通常の臨床で行うようにインプラント体およびアバットメントをスクリューで締結した際、スクリュー内部にはスクリューヘッドの固定後、さらなる 締結の推進により、スクリュー内部に引っ張り応力が生じることが判明した。また、インプラント体およびアバットメントにはプラットフォームの接触部分にス クリューによって引張られることにより、相反する応力が発生していることが判明した。さらに、骨内に埋入されたインプラント体にそのような応力がかかり、 インプラント体の微細な変形が起こった結果、インプラント機能負荷開始後に吸収されるネック部の皮質骨部にある程度の内部応力が生じていることが判明し た。今後はプラットフォームスイッチングのシフト量を変えることにより応力の絶対値および付加される場所がどのように変わっていくか調査を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り実在するインプラント体、アバットメント、スクリューの製品からCADモデルを作成し、スクリューで締結した際の応力分布について有限要素解析を行うことができた。有限要素解析ではこのモデルを作成することに時間がかかるため、モデルを作成できたことにより今後の研究は順調に進めることができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は独立型のモデルを用いてプラットフォームスイッチングのシフト量を変化させることにより、周囲骨およびコンポーネントに生じる応力の大きさや応力が 生じる場所がどのように変わっていくかについて解析を行い、プラットフォームスイッチングが骨吸収を抑制する機序を解明していく予定である。 また、可能であれば同シミュレーションを模した模型実験を行い、その有用性についてさらに検討していく。
|
Causes of Carryover |
実験計画においてインプラント体の価格が高額であり、物品費のほとんどを占める。 今年度は主に3次元有限要素法によるコンピューターシミュレーションを工学部と共同で行ったため、物品購入の必要がほどんどなく、支出実績がなかった。次年度は模型実験等を計画しているため、今年度繰越額を含め使用用途が多い予定である。
|
Research Products
(1 results)