2022 Fiscal Year Research-status Report
銀ナノ粒子担持加工技術を応用したアクリル系軟質リライン材への抗菌効果の付与
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19K19098
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
江越 貴文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70706150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 軟質リライン材 / 銀ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクリル系軟質リライン材は、高度な顎堤吸収による義歯の不安定さや、義歯の接触による疼痛の緩和等、幅広く臨床に応用されている。本研究の目的は、アクリル系軟質リライン材によってリラインした義歯に対し、抗菌性を有する銀ナノ微粒子を担持加工する技術を応用し、その抗菌効果を調べることである。軟質リライン材は粘弾性的な物性を有する歯科材料であり、義歯の装着感の向上、顎堤粘膜の疼痛の緩和に起用する一方で、硬質リライン材と比較し、表面性状は塑造であり、義歯床用レジンとの接着界面での剥離も生じやすい。長期間の口腔内での使用により、材料そのものの劣化も生じさらに塑造となって、デンチャープラークがより付着しやすくなり、不潔になるという問題がある。デンチャープラークの付着により、バイオフィルムが形成され、病原性細菌が義歯性口内炎ひいては誤嚥性肺炎を引き起こす要因となりうる。 軟質リライン材に対して銀ナノ粒子を担持加工するにあたり、材料そのものの物性等の確認は、担持加工後の軟質リライン材の物性との比較検討にあたって必要不可欠である。そこで軟質リライン材に対して、口腔内での長期間の義歯の使用を想定した1万回、2万回の熱サイクルを使用した熱負荷試験を行い、試験の前後における動的粘弾性の測定、吸水量、溶解量の測定の再検討を行った。また、軟質リライン材に銀ナノ微粒子を混和した場合の物性の確認を行っている状況である。配合する銀ナノ微粒子の濃度が大きくなる程リライン材を混和した際の流度が小さくなることを確認しており、さらに動的粘弾性、吸水量、溶解量への影響を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
軟質リライン材の粘弾性的性質、吸水量、溶解量の測定や、その他の業務に多くの時間を要してしまった。また、論文執筆、教育に費やす時間も多く、実働実験が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
商品化されているリライン材の粘弾性的性質や、吸水量、溶解量の実験を行ってきた。今後は、軟質リライン材に対する放射線還元法を応用した銀ナノ粒子の固定化、銀ナノ粒子を配合した場合の物性や抗菌効果、持続性の比較検討、軟質リライン材と義歯床用レジンとの接着強さの検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
理由は、コロナウイルスの蔓延により、学会の現地開催の代わりにオンラインでの開催となる場合が多く、交通費、宿泊費用がさほど生じなかったため。また、カンジダ菌の実験関連の消耗品の購入費用として計上した分の購入に至っていないため。 使用計画は、カンジダ菌への抗菌性の確認実験関連の消耗品やその他の物品の購入費用、学会が現地開催された場合は交通費、宿泊費用を予算として計上予定である。
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Research Products
(5 results)