2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨・糖代謝クロストークによる臓器間ネットワークを利用したインプラント周囲骨造成
Project/Area Number |
19K19099
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
柄 慎太郎 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (20759386)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨代謝 / 糖代謝 / MRONJ |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症患者に対し,ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)を使用することは有効な治療方法とされている一方で,口腔外科処置や歯科インプラント治療などを契機とするMRONJが大きな問題となっている.近年,骨代謝と糖代謝の間に密接な関連があることが明らかとなってきた.本研究では糖尿病治療薬が持つ,顎骨壊死と治癒遅延に対する薬理効果を評価した. 実験動物には4週齢ラットを使用し,生理食塩水を投与したコントロール群(Con),BP製剤であるゾレドロン酸とデキサメタゾンを投与したMRONJ誘発群(ZD),ZD群に糖尿病治療薬を投与したインスリン群(Ins)およびメトホルミン群(Met)を作成した.薬剤投与2週間後に全身麻酔下にて,上顎右側第一臼歯を抜歯した.抜歯4週後に安楽死させ,ELISA法を用いて,採取した血清より経時的な血中オステオカルシン濃度を測定した.またμCT撮影を行い,抜歯窩の3次元的構造評価を行った.その後HE染色により抜歯窩を病理組織学的に評価した.TRAP染色により破骨細胞数を評価した.μCTによる3次元的構造評価では,ZD群において明らかな治癒不全を認め,Ins群およびMet群はZD群に比べて,抜歯窩の治癒改善を認めた.HE染色による壊死骨の評価では,ZD群は壊死骨面積が有意に多く認められた.Ins,Met群では壊死骨面積がZD群と比較して有意に減少し,Con群と近いレベルまで改善した. 以上の結果より,インスリンは骨代謝に影響を与え,顎骨の治癒を促進する効果が示された.また経口投与可能なメトホルミンにおいても,同様に顎骨の治癒を促進する効果が示され,インプラント治療など歯科治療におけるMRONJ発症のリスクを、糖代謝関連薬剤を用いた薬物療法でコントロールできる可能性が示唆された
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