2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19102
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
佐藤 雅介 明海大学, 歯学部, 客員講師 (10708506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 覚醒時ブラキシズム / クレンチング / バイオフィードバック訓練(EMG-BF訓練) / EMG測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎関節症の発症には,多種多様な因子が関与している事が報告されており,治療方法も多岐にわたっている.その中でもブラキシズムは発症のみならず,持続因子としても大きく関与していると考えられているものの,日中のクレンチングに対して生活環境下における筋電図測定を行った研究は少ない.その理由として,従来の研究で使用されているEMG測定装置は大型であり,被験者の日常生活に支障を来し,日中の測定に向いていないことがあげられる.また,EMG波形の解析の際に,食事や会話などの機能運動と,クレンチング等の非機能運動を筋電図学的に識別しなければならない.これらの問題点を解決するために,携帯型筋電計バイオフィードバック装置(EMG-BF装置)の開発,ならびに筋電図学的なイベントの識別方法について検討がなされてきた.そこで,本研究では,EMG-BF装置の臨床応用の可能性をさらに発展させるために,日中のクレンチングに対するEMG-BF訓練が, 咀嚼筋痛に及ぼす効果について検証した. 日中のブラキシズムを自覚し,夜間のブラキシズムを指摘されたことのある被験者に対し,同意を得られた被験者18名(24.5±3.1歳)をバイオフィードバック群とコントロール群にそれぞれランダムに振り分け,連続した3週間の日中および夜間睡眠時のEMG測定を行った. 実験前後の問診票から,顎周囲に「痛み」または「だるさ」を訴えた被験者4名中3名が改善を認めた.以上の結果より,日中のクレンチングに対するEMG-BF訓練が夜間のブラキシズムを抑制し,咀嚼筋痛を改善しうる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,日中のクレンチングに対するバイオフィードバック訓練(EMG-BF訓練) が咀嚼筋痛にどのような影響を与えるかについて解析し,ブラキシズム制御システムとしての有用性を検証することを目的として実験を行い,成果を論文報告していることからおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は日中のクレンチングを筋電図を用いて検出する際のパラメータを見出し、治療の要否を判断するために用いられる基準を設けるところに目標を設定する。待される本研究結果の最大の波及効果は、日中のクレンチングに対する治療の要否を判定し、治療が必要な場合はその治療効果判定が可能になるという点であり、歯科臨床にとって大きな問題となっている力のコントロールにより、顎関節症の治療、歯根破折、咬耗、補綴装置の破損、修復物の破損、インプラントの適応症といった多くの面で歯科臨床の守備範囲を拡大できる、といった点での貢献ができるものと考える。
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