2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19106
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 学 日本大学, 松戸歯学部, 専修医 (40822961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 咀嚼筋 / 関連痛 / 筋硬度 / QST |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔顔面領域は身体の他の領域と比較して疼痛の発現頻度が高いと報告されている。この疼痛の発現様相は複雑であり、原因部位と異なる部位に発現する関連痛は診断を困難とする。現在、顎関節症(Temporomandibular Disorders: TMD)の国際的な標準診断基準であるThe Diagnostic Criteria for TMD (DC/TMD)において、関連痛誘発のための検査は咬筋および側頭筋に対して1.0 kgf の加圧強度で5 秒間の触診を行うことと定義されている。しかしながら、この咬筋および側頭筋に対する触診の加圧強度および加圧時間は明確な根拠が示されていない。したがって、本実験により咬筋および側頭筋に対する適切な加圧強度および加圧時間を明らかにして関連痛に関する検査方法を確立することは口腔顔面痛の治療のみではなく、一般的な歯科治療における誤診や誤治療を防ぐためにも有用なものと 考えられる。一方、関連痛の発現には咀嚼筋内のトリガーポイント(筋の拘縮)が関連しているという報告があるが、その実態はいまだ解明されておらず、関連痛を発現する者としない者で咀嚼筋の硬度に差異があるかを検討した研究も認めない。また、多くの研究において関連痛の発生部位で痛覚過敏などの感覚異常が生じている可能性が示唆されているが、QST を用いて感覚機能の客観的評価を行った研究は認めない。そこで本研究では咀嚼筋の筋・筋膜痛により生じる関連痛の検査方法の確立を目的として、咬筋および側頭筋の触診条件(加圧強度と加圧時間)の相違が関連痛の発現頻度に及ぼす影響および関連痛の発現部位に及ぼす影響を検討する。また関連痛の発現を認める被験者と認めない被験者間で咀嚼筋硬度の測定および関連痛を発現する部位における感覚機能を定量的感覚検査法(QST)を用いて測定比較することで関連痛のメカニズムの解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、健常者群に対する感覚機能を定量的感覚検査法(QST)を用いて測定し、また患者群に対する実験を進めていく予定だったが、COVID-19の影響により被験者の募集に遅れが生じている。そのため、健常者における咬筋および側頭筋における機械的感受性および関連痛の発現に関するデータ解析および論文作成を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず初めに健常者群に対する咬筋および側頭筋の機械的感受性および関連痛発現に関する論文を作成し、投稿を行う。またCOVID-19の状況を鑑みながら健常者群に関して、関連痛を発現する部位における感覚機能を定量的感覚検査法(QST)を用いて測定する予定である。また、順次患者群に対して関連痛発現の測定およびQSTの測定・筋硬度測定を行っていく予定である。集めたデータの解析を行い、追加の実験の必要性の考慮、論文作成および学会発表を行う予定である
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Causes of Carryover |
令和2年度は健常者群におけるQSTの測定および患者群に対する実験の遂行に遅れが出ているため、QST測定用機材消耗品であるディスポーザルカバーの購入を行わなかった為、差額が生じた。次年度からQSTの測定を行うため、QST測定機材消耗品購入費として使用する。また健常者における咬筋および側頭筋の関連痛発現に対する論文投稿にかかる費用に使用する予定である。
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