2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の口腔機能と全身疾患,機能との関連:機械学習を用いた網羅的かつ縦断的解析
Project/Area Number |
19K19122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三原 佑介 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (30779096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に高齢者の口腔機能を7項目で評価する「口腔機能低下症」が保険収載された。しかし、各項目の口腔機能低下症への影響度はいまだに不明である。そこで、本研究は地域在住後期高齢者の口腔機能低下症の実態と各項目の影響度を明らかとすることを目的として、機械学習を用いて検討を行った。 対象者は、SONIC研究参加者のうち、78-80歳 の537名(男性265名、女性272名)とした。口腔機能として最大咬合力、咀嚼能率、舌圧、口腔乾燥、オーラルディアドコキネシス、口腔不潔、嚥下機能を測定した。老年歯科医学会が提唱している診断基準を基に、3項目以上満たす者を口腔機能低下症とした。 機械学習の際には、対象者の中で429名を訓練群、108名をテスト群とし、ライブラリとしてscikit-learnを、アルゴリズムとしてrandom forestを用いた。学習の評価としてaccuracy、precision、recall、F-measure、ROC曲線下面積 (AUC)を、口腔機能低下症への影響度の評価として、各測定項目の特徴量重要度を算出した。 対象者の中で口腔機能低下症となったものは、292名(54.4%)であった。学習のaccuracy、precision、recall、F-measure、AUCはそれぞれ0.91、0.89、0.95、0.92、0.89であった。各測定項目の特徴量重要度は、最大咬合力が0.24、舌圧が0.14、口腔乾燥が0.13、咀嚼能率が0.12、口腔不潔が0.11となり、それ以外の項目は0.10以下であった。以上の結果より、地域在住後期高齢者において、口腔機能低下症には、最大咬合力、舌圧、口腔乾燥、咀嚼能率、口腔不潔が主に影響している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、COVID-19蔓延の影響により,会場調査での口腔機能測定ができなかった。そのため、令和2年度に収集予定であった80歳群のデータを得ることができず、分析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、COVID-19の感染対策を徹底した上で、令和2年度測定予定であった80歳群と、令和3年度測定予定の90歳群に対して口腔機能測定を行い、データを収集して分析を行う.
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Causes of Carryover |
令和2年度は,COVID-19蔓延の影響により,予定していた高齢者を対象とした調査が実施できなかった.また,参加予定としていたが学術大会についても,オンライン開催へと変更となり,旅費の必要性がなくなった. 令和3年度は,COVID-19の感染対策を徹底した上で,昨年度測定予定であった80歳群と,今年度測定予定の90歳群に対して口腔機能測定を行い,データを収集して分析を行う.さらに,得られた結果をもとに,学術大会での発表,論文投稿を行っていく.
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Research Products
(4 results)