2020 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺CFTRチャネルに焦点をあてたインプラント周囲炎の病態解明
Project/Area Number |
19K19136
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
多田 博昭 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (60817625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / CFTR / 唾液 / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液は刺激時、安静時あわせて1日400-500ml分泌されており、構成成分としてその99.5%を水が占め、その他をイオン、もしくはタンパク質が占める。唾液分泌メカニズムとしては、「二段階説」が広く受け入れられている。すなわち、クロライドイオン(Cl-)、重炭酸イオン(HCO3-)を含む陰イオンがイオンチャネルを通して腺腔側に放出され、タイトジャンクションを通して陽イオン(Na+)が腺腔に引き寄せられた結果、浸透圧によって水分子が腺腔に分泌される。当初等張性であった原唾液は導管を通ることによりNa+ 、Cl- の 再吸収およびHCO3-の分泌を受け、低張性の唾液となって口腔内へと分泌される。唾液分泌の過程で起きるこれらのイオンの収支に関わる重要なイオンチャネルは1990年代以降、分子生物学的手法を用いて次々に明らかにされ、大部分が遺伝子レベル、タンパクレベルでその配列が決定している。例えば、Cl-の再吸収およびHCO3-の分泌に関わるチャネルであるCFTRチャネルは唾液腺導管細胞に発現し、機能を抑制すると唾液中のHCO3-分泌が抑制される。結果として唾液中のPHが低下することで唾液の緩衝能が低下し、口腔内のカリエスが増加することがCftr ノックアウトマウスにより既に確かめられている。さらに唾液中のPH低下はS.mutans菌の増 殖も促すことが示されている。 本研究では口腔内の唾液腺導管開口部からCftr SiRNAを逆行性に注入し、唾液腺特異的にCftrチャネルの発現と機能をノックダウンすることによりインプラント周囲炎におけるCftrチャネルの役割について明らかにしようとするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットのインプラント埋入モデルを確立し、唾液腺導管を結紮することにより人工的に口腔乾燥症モデルラットを作成した。道管を結紮しないコントロールラットと比較し、インプラント周囲粘膜の炎症状態の確認と、周囲粘膜に発現する遺伝子をQuantitative PCRを用いて解析を行った。Cftr SiRNAの逆行性注入までに至っていないのが現状であり、今後できる限り早期に研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
CFTRSiRNAの逆行性注入を用いたチャネルの機能抑制についてはラットを用いてその実現可能性についてできる限り早期に研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初SiRNAの逆行性注入の手技について既報の論文著者に問い合わせ、直接手技の習得を行おうと考えていたが、COVID19の感染拡大により実現が困難となった。今後は論文を参考に分野内で独自に行い実現を目指す予定である。
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Research Products
(1 results)