2021 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺CFTRチャネルに焦点をあてたインプラント周囲炎の病態解明
Project/Area Number |
19K19136
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
多田 博昭 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (60817625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / CFTR / 唾液 / 唾液腺 / 口腔乾燥症 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント治療は、欠損補綴治療のオプションとして、一般的に広く国民に認知されてきているが、インプラント周囲炎を呈し、結果としてインプラント治療が失敗に終わる症例も散見される。これまで、インプラント周囲粘膜炎とプラーク蓄積の関連を示す報告はあるものの、インプラント周囲炎との直接的な因果関係は不明なのが現状である。一方で、口腔乾燥症とインプラント周囲炎との関連について近年報告されていることから、本研究では、唾液分泌に関わるcystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) に着目し、インプラント周囲炎発症との関連を明らかにすることを目的とした。 インプラント周囲炎モデルラットについては、我々の研究グループですでに作製プロトコルを確立しているが、 CFTRSiRNAの逆行性注入を用いたチャネルの機能抑制については奏功しなかった。そこで本研究では、糖尿病発症の原因の1つとして、CFTR遺伝子の変異によって膵臓のβ細胞におけるインスリン分泌調節機能が不全に陥ることが報告されていることから、代替として糖尿病モデルマウスKK-Ayを用いることとした。 Ex vivo顎下腺灌流実験の結果、C57BL/6Jと比較し、KK-Ayで唾液分泌量が有意に減少しており、糖尿病で唾液分泌量が減少することを確認した。その後、KK-AyにCFTR増強薬であるivacaftorを投与した実験群と生理食塩水を投与したコントロール群で唾液分泌量に変化があるかを同様に比較した。その結果、唾液分泌量は実験群とコントロール群で同等であり、分泌唾液中のイオン濃度およびpHに差はなかった。 以上の結果から、CFTR機能の増強が口腔乾燥症の発症予防に寄与する可能性は低いと考えられることから、現状では、CFTRとインプラント周囲炎との関連は明確にならなかった。
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