2019 Fiscal Year Research-status Report
新規BMP-2ペプチドおよびRANKL結合ペプチドの固定化と骨関連細胞分化の制御
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19K19147
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
首藤 崇裕 大阪歯科大学, 医療保健学部, 助教 (40804604)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | BMP-2ペプチド / RANKL結合ペプチド / インプラント / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、新たなBMP-2由来ペプチドを合成し、本ペプチドが骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞の活性や分化に与える影響について分子生物学的および生化学的手法により検討した。 まずBMP-2ペプチドに関しては、骨形成に効果があると報告されているBMP-2ペプチドにおいて、BMP-2のアミノ酸配列73番目~92番目、68~87番目に相当するBMP-2ペプチドの共通配列を有する新規のBMP-2ペプチドを合成した。また、システイン78番目と79番目を、セリン78番目と79番目に置換した。ネガティブコントロールとして、活性部位を含まないペプチドも合成した。 チタンへのペプチド固定化の前に、ペプチドを培養液中に直接添加した場合の細胞への影響を検証した。MTSアッセイによる解析の結果、使用した濃度のBMP-2由来ペプチドはMC3T3-E1細胞の細胞活性に影響を及ぼさないことを確認した。real-time quantitative RT-PCR法による解析の結果、本ペプチド刺激によってMC3T3-E1細胞における骨芽細胞分化マーカーであるRunx2、OsterixおよびType Ⅰ collagenの遺伝子発現量が顕著に増加した。また、MC3T3-E1細胞のALP染色陽性を亢進した。ここまでの結果より、本研究において新規に合成したBMP-2由来のペプチドは、骨芽細胞の分化を促進し、新たな「骨形成誘導物質」として有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度中に、培養液へのペプチド直接添加による骨芽細胞および破骨細胞分化への効果を検証したかったが、RANKL結合ペプチドであるW9ペプチドは使用できておらず、細胞も骨芽細胞のみの評価となっている。骨芽細胞についてもまだ解析が不十分な点があり、再現性に乏しい状況である。ペプチドのチタン表面への固定化については、これまで我々が行ってきた従来の方法を踏襲し応用可能であることを確認できた。以上の理由から、現状では本研究の進行はやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
より円滑な研究遂行のために所属研究室内の環境整備を行い、研究協力者とこれまで以上に密に連絡を取り合い、アドバイスを貰うことで実験の効率化を図っていきたい。予備実験でもまだ検証できていないW9ペプチドの、骨芽細胞や破骨細胞といった骨関連細胞への影響を優先的に検討し、並行してBMP-2ペプチド固定化チタンの実験を進め、順次、W9ペプチド固定化チタン、両者を固定化したチタンの効果を検証していく。
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Causes of Carryover |
2019年度中に行なった実験・解析の内容と進行度において、既存の試薬やピペットなどの消耗品の使用で多くを補うことができた。また、2019年度は学内共同研究施設で実験を行なった為、所属研究室に導入予定であった機器類の購入を見送ることとなった。 次年度は、ペプチドやプライマー、染色キットなどを含めた試薬類、チタン板、その他消耗品の新規または追加購入が見込まれる。より円滑に実験を行えるよう、所属研究室用の機器類購入費としても使用する。また、国内外の学会参加費としても支出予定である。
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