2020 Fiscal Year Research-status Report
新規BMP-2ペプチドおよびRANKL結合ペプチドの固定化と骨関連細胞分化の制御
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19K19147
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
首藤 崇裕 大阪歯科大学, 医療保健学部, 助教 (40804604)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BMP-2ペプチド / RANKL結合ペプチド / インプラント / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新規BMP-2ペプチドとRANKL結合ペプチドであるW9ペプチドが骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞および破骨細胞前駆体培養細胞株RAW264.7細胞の分化に与える影響について分子生物学的・生化学的手法により検討した。BMP-2ペプチドに関しては、前年度の検証において骨芽細胞分化マーカーであるRunx2、OsterixおよびType Ⅰ collagenの遺伝子発現量を増加させALP染色陽性を亢進したものを使用した。活性部位を含まないペプチドもネガティブコントロールとして引き続き使用した。W9ペプチドは、細胞活性に影響のない濃度を細胞増殖アッセイによってスクリーニングを行い、本実験に適用した。 まずペプチドを培養液中に直接添加した場合の細胞への影響を検証した結果、W9ペプチドはBMP-2ペプチドと同様に、MC3T3-E1細胞における骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現量を増加させALP染色陽性を亢進した。また、両ペプチドはコントロール群と比較して同細胞における石灰化も促進した。可溶性条件での検証後、チタン板表面にペプチドを固定化し骨芽細胞への影響を検討した。その結果、細胞染色やSEMによる観察は行えていないが、可溶性条件と同様に両ペプチドはコントロール群と比較して骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現を促進した。RAW264.7細胞の分化に対するペプチドの影響については、W9ペプチド単独では遺伝子発現解析によりTRAP、Cathepsin Kといった破骨細胞分化マーカーの発現を抑制する傾向が見られたが、両ペプチドの併用では十分なデータは得られていない。 以上より、新規BMP-2ペプチドとW9ペプチドはチタン上でも骨芽細胞の分化を促進し、より骨形成優位な環境を作り出すことができるチタン表面修飾物質になり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、骨芽細胞を用いた実験においてはおおむね順調に進められ、前年度中にできなかったW9ペプチドを用いた実験や破骨細胞分化への影響の検証もある程度進めることができた。ただ日常業務に加え、新型コロナウイルス感染症拡大による自粛やそれに伴う当初予定していた研究施設の環境整備の大幅な遅れによって、当初の研究期間内に十分な実験結果を得ることができず研究期間の延長を申請することとなった。 以上の理由から、現状では本研究の進行はやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
より円滑な研究遂行のための所属研究室内の環境整備も現在はほぼ完了し、引き続き研究協力者とこれまで以上に密に連絡を取り合い、アドバイスを貰うことで実験の効率化を図っていく。それによって本研究の肝であるBMP-2ペプチドとW9ペプチド併用の骨芽細胞および破骨細胞両者の分化に及ぼす影響について再現性のあるデータを得ることができると考えられる。再現性のあるデータ確保のため、未実施であるTRAP染色やチタン板上での蛍光免疫染色、SEMでの細胞形態観察も可能な限り行なっていきたい。
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Causes of Carryover |
補助事業期間の延長を考慮し、延長年度(次年度)分の経費を確保するため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、主に試薬類の消耗品に充て、必要に応じて学会参加費などに充てる予定である。
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