2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍血管の異常性獲得に乳酸アシドーシスが及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
19K19149
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北條 敬之 北海道大学, 大学病院, 助教 (60756691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 血管内皮 / pH |
Outline of Annual Research Achievements |
今までの研究から、腫瘍血管内皮細胞は腫瘍微小環境での低酸素状態、活性酸素種 (ROS) 、miRNAなどを利用し、腫瘍血管内皮細胞の特異性獲得をしていることを見出してきた。 本研究では、腫瘍血管内皮細胞が腫瘍微小環境内の乳酸アシドーシスという一般的には細胞毒性がある状況に対して特異な分子メカニズムにより細胞毒性を回避し、それを血管新生能の獲得に利用しているのではと仮説を立て、その分子メカニズムを探ることを目的としている。今年度は以下の点について解析した。 ①血管内皮細胞の培養上清のpHの測定:正常血管内皮細胞と比較し、腫瘍血管内皮細胞では培養上清のpHが低くなっていることが判明した。そのことから、腫瘍血管内皮細胞は自ら酸性環境を作り出していることが示唆された。また、腫瘍血管内皮細胞はそのような環境下でも正常血管内皮細胞と比較して高い細胞増殖能を示していた。
②乳酸アシドーシスが腫瘍血管内皮細胞の血管新生能へ及ぼす影響の検討:正常血管内皮細胞と腫瘍血管内皮細胞を乳酸アシドーシス環境で培養し、それぞれの血管新生能に及ぼす影響を、MTS 試薬を用いた細胞増殖能アッセイにより検討した。その結果、正常血管内皮細胞はpHが低下するにつれて増殖が抑制されたが、腫瘍血管内皮細胞はpHが低下するにつれて増殖が亢進されることが判明した。今後、腫瘍血管内皮細胞がどのようなメカニズムでpHの低下により増殖能の亢進を起こしているのか解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年次の解析目標であった血管内皮細胞の培養上清のpHの測定、乳酸アシドーシスが腫瘍血管内皮細胞の血管新生能へ及ぼす影響の検討を概ね遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、腫瘍血管内皮細胞が腫瘍微小環境内の乳酸アシドーシスにより血管新生能の獲得をしている特異な分子メカニズムの解明をPCRやウェスタンブロット法により進めていく。 並行して、血管生物分子病理学のスタッフと密に連携し、実験や研究経過の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度は、次年度にむけての準備段階の研究内容も含まれており、解析用試薬の購入が想定より少なかったため (使用計画)次年度は今年度得られた知見を基にメカニズム解析のための試薬を購入費用として使用する
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[Presentation] Carbonic anhydrase 2 (CAⅡ) is essential for tumor endothelial cell proliferation2019
Author(s)
Maishi Nako., Dorcas A. Annan, Soga Tomoyoshi., Dawood Randa, Li Cong, Kikuchi Hiroshi., Hojo Takayuki., Morimoto Masahiro., Kitamura Tetsuya., Mohammad Towfik Alam, Shinohara Nobuo., Hida Yasuhiro., Hida Kyoko.
Organizer
第79回日本癌学会学術総会
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[Presentation] Carbonic anhydrase 2(CAII)is essential for tumor endothelial cell proliferation2019
Author(s)
2.Annan Dorcas A., Maishi Nako., Soga Tomoyoshi., Dawood Randa, Li Cong, Kikuchi Hiroshi., Hojo Takayuki., Morimoto Masahiro., Kitamura Tetsuya., Mohammad Towfik Alam, Minowa Kazuyuki., Shinohara Nobuo., Hida Yasuhiro., Hida Kyoko.
Organizer
第108回日本病理学会総会
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[Presentation] Carbonic anhydrase 2 (CAⅡ) is essential for tumor endothelial cell proliferation under various metabolic conditions2019
Author(s)
2.Annan Dorcas A., Maishi Nako., Soga Tomoyoshi., Dawood Randa, Li Cong, Kikuchi Hiroshi., Hojo Takayuki., Morimoto Masahiro., Kitamura Tetsuya., Mohammad Towfik Alam, Minowa Kazuyuki., Shinohara Nobuo., Hida Yasuhiro., Hida Kyoko.
Organizer
The 38th Sapporo International Cancer Symposium
Int'l Joint Research