2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌EGFR分子標的治療薬の心毒性・皮膚障害発生機構の解明と治療薬の開発
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19K19152
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
喜田 晶洋 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60741816)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EGFR分子標的治療薬 / セツキシマブ / 皮膚障害 / 心障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
セツキシマブは臨床において有効性が高く評価されている一方、副作用として皮膚症状、心障害が高頻度に起こり治療の妨げとなっている。これらの副作用を抑制できれば他の抗癌剤よりも、良好な予後(生存期間の延長、社会復帰など)が得られるものと推察される。しかし一般にはEGFR を分子標的とするため、これらの障害が起こることは必然であり、抗腫瘍効果を維持したまま副作用を抑制する治療法は困難であると考えられてきた。本研究では、EGFR を起点とするセツキシマブ作動ネットワークにおける皮膚毒性カスケードと心毒性カスケードが抗腫瘍効果カスケードと分岐することを利用して、皮膚症状や心毒性を抑制しかつ抗腫瘍効果を維持・増強する併用治療薬の開発を目的とし以下の成果を上げた。1. セツキシマブを口腔扁平上皮癌細胞に作動させ、microarray-Pathway解析により遺伝子ネットワーク上の抗腫瘍、心毒性、皮膚毒性の3種のカスケードを同定・確認した。2. 癌細胞にセツキシマブを作用させ、MTS assayにより抗腫瘍効果を確認すると共に、抗腫瘍候補カスケードの構成遺伝子群の発現状態をreal time PCR法で調べ、抗腫瘍効果を抗腫瘍候補カスケードが担っていることを確認した。3. 皮膚上皮細胞と線維芽細胞にセツキシマブを作用させ、皮膚毒性候補カスケードの構成遺伝子群の発現状態を調べ、皮膚障害効果を候補カスケードが担っていることを確認した。4. 遺伝子ネットワークにおいて、抗腫瘍効果及び皮膚毒性カスケードとの分岐点を求め、その下流で皮膚毒性カスケードをブロックするための分子標的を決めた。さらに、それに対する制御薬剤を文献により検索・同定した。 5. 皮膚上皮細胞にセツキシマブと候補薬剤を併用投与し、候補カスケード構成遺伝子の発現状態を調べ、皮膚毒性カスケードを候補薬剤がブロックしていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。また、これまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、標的候補遺伝子shRNA導入により形質転換細胞を作製し、セツキシマブを作用させた時に、抗腫瘍効果カスケードをブロックすることなく皮膚毒性カスケードを抑制することができるかを実験中である。また今後は、In Vivoにおいて扁平上皮癌細胞をマウスに移植し、セツキシマブと候補薬剤を併用投与して、血中Mg2+値の低下の抑制効果を確認して、抗腫瘍効果をブロックすることなく、心毒性が抑制される可能性があることを詳細に検証していく予定である。
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