2020 Fiscal Year Research-status Report
生体吸収性材料を用いた新規下顎骨関節突起骨折治療プレートの開発
Project/Area Number |
19K19158
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
助川 信太郎 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (20837661)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 下顎骨関節突起骨折 / 観血的整復固定術 / 生体力学的検索 / 生体吸収性プレート |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎骨関節突起骨折は顔面外傷において最も頻度の高い疾患の一つである。近年では、下顎骨関節突起骨折に対する治療には骨接合材であるチタン製ミニプレートによる固定を行う観血的整復固定術が一般的な治療となっているが、チタン製ミニプレートにはその機能を終えた後にプレート撤去を必要とする問題を有しており、術後の合併症としては顔面神経損傷や術後瘢痕がある。そのためプレート撤去等を含めた複数回の手術は回避が望ましく、近年は生体吸収性プレートの選択が検討されることがある。申請者は、これまでにポリ-L-乳酸(poly-L-lactide ;PLLA)と非焼成ハイドロキシアパタイト(u-HA)の複合体からなる骨接合材が高い生体親和性と添加性骨形成能、ヒト皮質骨に近い力学的剛性を有することから、高い機械的強度を必要とする下顎骨骨折の整復固定に有用であることを報告し、また、同様の生体吸収性プレートを用いて顎変形症におけるプレート固定の有用性を報告している。本プレートは、下顎骨関節突起骨折への新たな応用・使用が期待できるものである。そこで本研究課題では、生体吸収性下顎骨関節突起骨折治療用プレートの必要強度を検証し、さらに動物実験による有用性、安全性を確認する。これにより、骨伝導性を有しさらに完全に生体内で吸収分解することで再度プレート摘出手術を必要としない大きな長所を備えた生体吸収性プレートの使用が可能となり患者の精神的、肉体的負担の軽減や医療費削減にも大きく役立つと考えられる。令和2年度は、プレートを用いた下顎骨関節突起基底部骨折における生体力学的評価ならび、下顎骨関節突起頭部骨折おける骨モデルを用いた生体力学的評価を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行しての下顎骨関節突起骨折モデルを用いた生体力学的強度の測定が終了したが、費用の制限により有限要素解析ソフトの購入に至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
プレートを用いた下顎骨関節突起基底部骨折における生体力学的評価ならび下顎骨関節突起頭部骨折おける骨モデルを用いた生体力学的評価は概ね行うことができた。今後は、吸収分解過程における生体材料周囲の生体内評価、検討を行なっていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初、令和2年度計画では、下顎骨関節突起骨折の骨接合材のための強度研究を行うにあたり、下顎骨基底部骨折治療のための強度解析、生体力学的実験をおこなう予定であっ た。しかし、研究過程で、下顎骨関節突起骨折には下顎骨頭部骨折も発生し治療の適応となることが近年強く示された。このため、本研究目的を遂行するにあたり、本研究分担者と協議した結果、当初計画に加え、 下顎骨関節突起頭部骨折の関与を詳細に検討するため、下顎骨関節突起頭部骨折実験を加える必要があると判断し、再現性の確認実験や研究分担者との協議を行った。そのため、下顎骨基底部骨折治療のための強度解析、生体力学的実験が行えず、繰越金が発生した。令和3年度は、2年度に行えなかった下顎骨基底部骨折治療の解析を行うため、有限要素解析ソフトの購入や、骨折モデルの作成、解析などに繰越金を使用する予定である。
|