2019 Fiscal Year Research-status Report
自己硬化型β-TCP顆粒セメントによる垂直的骨造成への挑戦と骨再生医療への応用
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19K19163
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | β型リン酸三カルシウム / 自己硬化性 / 顆粒セメント / 垂直的骨造成 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工骨補填材であるβ-TCP顆粒を酸性リン酸カルシウム水溶液と練和することで硬化する自己硬化型β-TCP顆粒セメント(β-TCPGC)をすでに開発しているが、本研究ではその特性を利用して、①垂直的骨造成の検討および②骨再生用スキャフォールドとしての有用性を検討することを目的としている。 本年度は、β-TCPGCによる垂直的骨造成の実験手技を確立させ、実施した。β-TCPGCの組成は、粒径300~600 μm のβ-TCP顆粒および、練和液として20 mmol/L に調製したリン酸にリン酸水素カルシウムを飽和させた酸性リン酸カルシウム水溶液を用いた。本材料をウサギ頭蓋骨へ積層充填していき垂直的骨造成を行った。実験の対照群は、硬化性のないβ-TCP顆粒単独をチタン製のキャップ内に充填したものとした。β-TCPGC群は崩壊することなく積層が可能であり、さらにそれ自身が硬化性を示すために被覆膜やメッシュによる補強の必要はなく閉創可能であった。術直後および術後2週の段階で実験動物の観察を行ったが、術後も試料は崩壊、飛散することなく埋入部位に固定されており、試料摘出後のμCT像においても同様に試料が固定されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時には対照群に使用するキャップをプラスチック製としていたが、これまでの文献報告や、強度および生体安全性の観点からチタン製へ変更した。素材を変更することでキャップ作製に期間を要したために、動物実験開始が遅れることとなったが、予定数の試料埋入は終了しているため、実験自体は概ね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた術後期間をおいて実験試料の摘出を行い、μCTによる形態学的な観察を行うとともに、病理組織切片を作製し組織学的観点からβ-TCPGCの垂直的骨造成への有用性の評価を行う。 また、β-TCPGCを用いた骨再生用スキャフォールドとしての有用性検討のため、細胞実験および異所性骨再生実験も併行して行うこととしている。
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Causes of Carryover |
動物実験対照群に使用するキャップの素材変更により、動物実験開始時期が遅れた。そのため追加の動物実験が必要な場合の費用や組織切片作製およびその評価にかかる費用として次年度使用額を使用する予定である。
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