2019 Fiscal Year Research-status Report
内臓脂肪型肥満発症経路が関与する抗癌剤耐性機構の解明
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19K19171
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
喜名 美香 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (80578914)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内臓肥満 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過去に、低NOx 食を長期投与したマウスにおいては内蔵脂肪型肥満を含む糖尿病様疾患が発症することを報告し、その際、低NOx 食投与群において、Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ (PPAR-γ) の発現が低下することをウエスタンブロットにより観察したことをもとに研究の着想を得ている。 PPAR-γ の活性化剤であるロシグリタゾン(Rosiglitazone)は、抗糖尿病薬として市販されており、PPAR-γ の発現低下は低NOx 食投与による糖尿病様疾患の発症に重要な役割を有していることが示唆されている。本研究は、内臓脂肪型肥満に見られるこのPPAR-γ のdownregulationが癌患者の腫瘍の進展や抗癌剤感受性にどのような影響を与えるか検討するところから研究を開始している。癌細胞株に抗癌剤を曝露したところ、転写因子 c-fos, c-jun の発現が上昇していることを確認している。さらに、c-fos, c-jun が制御する産物として、interleukin 24 (IL-24) の発現上昇を見出した。IL-24 は、抗炎症性サイトカインであると同時に、癌細胞を死滅させる効果を有していることが多数報告されている。また、PPAR-γ の活性化剤であるRosiglitazoneは、c-fos family の発現を抑制することが報告されている。 現在、抗癌剤依存的に惹起される c-fos, c-jun の発現上昇がIL-24 の発現に関与しているのではないかと推察し、研究を進めており、内臓脂肪型肥満の患者と、そうでない患者では、抗癌剤感受性に違いが出るのではないかと推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属移動に伴い、遅れている。 新しい所属先での研究開始にあたり、実験の準備を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、PPAR-γ の発現が抗癌剤感受性に与える影響について、癌細胞に対して抗癌剤を曝露し、その感受性がPPAR-γ の有無でどう変化するか検討する。具体的には、PPAR-γ をsiRNA を用いてノックダウンし、その抗癌剤感受性がどう変化するかMTT アッセイ等を用いて観察する予定である。 また、PPAR-γ の活性化剤(Rosiglitazone)が抗癌剤感受性に与える影響について、抗癌剤で癌細胞を処理する際に、PPAR-γ の活性化剤(Rosiglitazone)を併用すると、癌細胞死がどう変化するかMTT アッセイを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、代表者の所属先が変更となり、新しい所属先での研究開始にあたり、実験の準備が必要であったためである。今後、実験に必要な消耗品などの物品や解析ソフトの購入、また、研究成果の学会発表に伴う旅費に使用予定である。
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