2023 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部がん重粒子線治療患者における顎骨壊死部の口腔細菌叢に関する研究
Project/Area Number |
19K19183
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 医長 (00793928)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 重粒子線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:頭頸部がんに対する重粒子線治療では、照射後に放射線性顎骨壊死が出現し、同部位の細菌感染が臨床的に問題となる事がある。そこで本研究の目的は、頭頸部がんに対する重粒子線治療後に現れた顎骨壊死部の細菌叢の特徴を次世代シークエンサーを用いて明らかにすることである。 対象と方法:研究対象は、頭頸部腫瘍に対して当院で重粒子線治療が行われた症例のうち顎骨壊死が出現した症例の口腔内細菌叢を研究対象とした。研究対象症例に対し、重粒子線照射野外、重粒子線照射野内で腐骨露出部以外、重粒子線照射野内の腐骨露出部の各3部位より細菌検体の採取を行った。解析方法は次世代シークエンサーを用いて各部位間において細菌叢の構造に統計学的有意な差の有無を調べるためにAnalysis of similarities (ANOSIM)解析、各部位に存在する細菌種の相対存在量を比較するためにLinear discriminant analysis effect size(LEfSe)解析を行った。 結果:全20症例60検体のサンプルで細菌叢の網羅的解析を実施した。ANOSIM解析では重粒子線照射野外と照射野内の腐骨非出現部の細菌叢に統計学的な有意差は認めなかった。一方、腐骨露出部位の細菌叢は、重粒子線照射野外および照射野内の腐骨非出現部位と比較して、それぞれの集団間に統計学的な有意差(p<0.05)を認めた。LEfSe解析では顎骨壊死部の細菌叢はその他の部位と比較してBacteroidetes門 (prevotella属、Tannerella属)、Fusobacterium門 (fusobacterium属)、Spirochaetes門 (treponema属)に属する細菌種が豊富であった。 結語:頭頚部がん重粒子線照射後の顎骨壊死部は口腔内のその他の部位と比較して細菌叢が異なり、グラム陰性桿菌が豊富である。
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