2021 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミン神経系が口腔顔面領域の神経障害性疼痛の緩和に関与するメカニズムの解明
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19K19192
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前川 博治 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (10711012)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / A11細胞群 / ドーパミンD2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドーパミン神経系の一つであるA11細胞群に着目し、ドーパミン神経が神経障害性疼痛を緩和するメカニズムを明らかにすることを目的に研究を行った。 眼窩下神経を結紮して作製したラットのA11細胞群に、ドーパミンD2受容体作動薬を微量注入すると、機械刺激に対する過敏性が減弱すること、また三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に発現するpERK免疫陽性細胞数が減少することがわかった。この結果は、口腔顔面領域の神経障害性疼痛の場合にも、A11細胞群がその症状の変化に関与すること、A11細胞群へのドーパミンD2受容体作動薬が症状を減弱することを示唆する。また、これらの反応は、A11細胞群の活動の変化が、Vcの活動に変化を惹起することを示唆する。本研究の結果から、ドーパミン神経系の一つであるA11細胞群は、眼窩下神経を結紮して作製した神経障害性疼痛モデルラットの症状を変化させうることが示された。 VcにはドーパミンD2受容体が存在し、Vcにドーパミン受容体作動薬を注入するとc線維の反応を抑制することが報告されていることから、Vcの活動の調節にはドーパミン受容体も関与していることが示唆される。神経障害性疼痛の場合、Vcに発現するドーパミン受容体の発現量や、ドーパミンに対する感受性に変化が生じている可能性がある。また、A11細胞群に含有されるドーパミン量に変化が生じている可能性もある。これらの事項は今後の研究において明らかにする必要がある。ドーパミン神経系を介して、神経障害性疼痛の緩和が可能であるならば、治療法につながることが考えられ、神経障害性疼痛患者のQOLの改善に寄与しうるものとなる。本研究はそれに関して基礎的なデータを提供することができたと考える。
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