2019 Fiscal Year Research-status Report
武装型第三世代がん治療用HSV-1と免疫療法の併用効果および安全性の検討
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19K19194
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内橋 俊大 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60757839)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス療法 / 武装型遺伝子組み換えHSV-1 / 安全性 / 顎骨浸潤モデル / リンパ節転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
学会発表としては、G47ΔのA/Jマウスを用いた安全性試験の結果(極めて高い安全性を示す)および種々のマウス舌癌モデルにおいて、舌局所および頚部リンパ節転移に対して顕著な抗癌作用をもたらした結果の概要を、ブラジル・リオデジャネイロで行われた国際口腔外科学会において「A NEW THERAPEUTIC STRATEGY FOR ORAL SQUAMOUS CELL CARCINOMA USING G47Δ, A THIRD GENERATION ONCOLYTIC HSV-1」の題目の下、申請者が2019/5/24に筆頭演者として口演発表した。 また、同年7月に、東京大学で行われた第25回日本遺伝子細胞治療学会において、申請者のグループが、KLN205-MUC1新規舌癌モデルを用いた、武装型遺伝子組み換えHSV-1(T-mfIL-12)の治療効果(コントロールウイルスであるT-01に比して、頚部リンパ節転移で高い抗腫瘍効果を示す)のdataを主項目に「Therapeutic efficacy of IL-12 expressing oncolytic HSV-1 with triple mutations for neck lymph node metastases in mouse tongue cancer models」の題目にて口演発表を行った(申請者は共同演者)。この中で、IL-12発現型遺伝子組み換えHSV-1は頚部微小転移巣においてこれまでの第三世代がん治療用HSV-1よりさらに高い抗腫瘍作用をもたらす可能性を示している。 さらに2020/2/5に、申請者が「A new minimally invasive approach for oral suamous cell carcinoma using G47Δ, a third generation oncolytic HSV-1」の題目にて、インドのMYSURUで行われた、India-Japan Multidisciplinary Symposium on Oral Oncology, Maxillofacial Trauma & Implantologyにて、上記安全性試験と治療効果のデータを用いて筆頭演者として口演を行った。 論文としては、Yabuno Y, Uchihashi T, Sasakura T, Shimizu H, Naito Y, Fukushima K, Ota K, Kogo M, Nojima H, Yabuta N,cell cycle, 2019.8;18(16) 1976 - 1994 に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本学歯学研究科は、本年度全面改修工事を行うことになり、主たるウイルス療法の実験場所が使用できなくなることになるため、動物実験を中心に3月までに実験を集約して武装型第三世代がん治療用HSV-1(T-mfIL-12)のSCCVII顎骨浸潤モデルにおける治療効果(主に骨浸潤抑制効果の検討)およびT-mfIL-12、T-B7-1のA/Jマウス舌投与における安全性の検討を行った。 2種類の武装型遺伝子組み換えHSV-1は、野生型HSV-1のstrainFがすべて1×107 pfu投与下に死亡するのに対して、全て生存し、また体重減少や行動変化も全く見られなかった。これらの結果から、武装型遺伝子組み換えHSV-1は高い抗腫瘍効果はもちろんのこと、非常に高い安全性を示すことがわかった。 また、SCCVII顎骨浸潤モデルにおいて、T-mfIL-12はT-01に比して、高い抗腫瘍効果を示すと同時に仮設通り、骨吸収阻害を示すことが、マイクロCT解析で明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、改修工事に伴い遺伝子組み換えウイルスがしばらく使用できなくなるたるため、それ以外での実験を進めることになるが、概ね予定していた実験は行うことができており、固定済みのサンプルになっているものに関しては今後免疫染色などを行う。また、IL-12が腫瘍の骨浸潤局所において、骨吸収阻害を行うことが示唆されているため、リコンビナントIL12を用いて、より深くIL12の局所投与による抗腫瘍効果、骨浸潤阻害効果を検討する。また、骨吸収抑制の機序について過去の文献で示されている、カテプシンK、INF-γ、IL-6、TNF-αなどをRT-PCRで確認する。また、カテプシンKの免疫染色、TRAP染色などを行い、免疫組織学的解析も行う予定である。
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