2019 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来多能性細胞と炭酸アパタイト多孔体による骨と軟骨の複合的再生医療の開発
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19K19199
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 久美子 徳島大学, 病院, 医員 (60836469)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DFAT / 炭酸アパタイト / 軟骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は関節の骨とそれを被覆する軟骨を同時に、かつ機能的な形態に再生することを目的とする。欠損した関節の理想的な再生を考えた場合、骨と軟骨の複合体を同時に再生させる必要がある。申請者らのグループは骨置換性炭酸アパタイトの合成に成功し、これをスキャホールドにして骨の再生が可能であることをすでに明らかにした。しかしながら軟骨の再生においては、機能的な軟骨形態を付与でき、さらに力学的に十分な強度を持ったスキャホールドは開発されていない。そこで、申請者は形態形成が簡便で、強度に優れる多孔質炭酸アパタイトを軟骨の再生のためのスキャホールドとすることで次のような骨と軟骨の複合体の再生を考案した。①簡便に採取できる脂肪から単離した幹細胞様の多分化能を持つ脱分化脂肪細胞(Dedifferenciated fat cell:DFAT)を細胞源とする。②2つの気孔径、気孔率の異なる炭酸アパタイトブロックをスキャホールドとして、それぞれにDFATを播種する。一方は骨分化誘導、もう一方には軟骨分化誘導を行い培養する。③2つのブロックを結合させて皮下に移植して異所性の骨・軟骨複合体の同時再生を図る。④再生組織を関節の欠損部位に移植する。上記の方法により、骨と軟骨との複合的な再生医療の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
12週齢の雄のマウスの背部皮下脂肪1gを採取し、Matsumotoらの方法に準じて、0.1%コラゲナーゼなどの酵素処理によって分散した脂肪細胞を天井培養によりDFATを単離した。軟骨分化誘導培地で培養し、サフラニンO染色を行い、軟骨様構造に分化することを確認した。またPCRにてRUNX2、アグリカン、SOX9の各種分化マーカーの発現を確認し軟骨に分化することを確認した。 軟骨細胞の初期分化には細胞凝集が必要であり、細胞のスフェロイド化により骨や軟骨分化が促進される。近年、成熟軟骨には認められない血管内皮細胞と軟骨細胞を共培養することで自律的に三次元的スフェロイドを形成するとともに軟骨分化が促進されることが報告されている。現在DFAT細胞を用いてスフェロイドを作成中であるが、安定し、長期的に生存可能なスフェロイドの作成の検討にやや難渋している。現在、種々のスキャホールドやスキャホールドを用いないスフェロイドの形成について、検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討中のスフェロイド形成の検討により, 最もスフェロイド形成能が高い培養方法を用いて, 骨芽細胞、軟骨細胞へ分化させたスフェロイドを12週齢マウス背部皮下へ移植し、継時的に観察を行い, 異所性の骨及び軟骨誘導が可能であるかどうか確認する。 皮下に埋植したスフェロイドを継時的に摘出し, PCRでRUNX2やアグリカンなどの分化マーカーの遺伝子発現を定量的に評価する。また摘出物の病理組織標本を作成し, 骨や軟骨に特異的な染色を行うことにより, 骨形成や軟骨形成を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度に動物実験などまとめてとり行う予定としたため次年度使用額が生じた。
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