2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of OSCC cells-derived exosomal PD-L1 on anti-tumor immunity
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19K19201
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
仙頭 慎哉 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30635264)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PD-L1 / エクソソーム / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織では、がん細胞は自身の遺伝子異常や腫瘍浸潤細胞が産生するIFN-γなどによりPD-L1を高発現し、T細胞の活性化を抑制することで免疫回避が生じている。さらに、PD-L1はextrinsicな作用以外にintrinsicな作用も有し、上皮間葉移行(EMT)、転移、治療抵抗性、がん幹細胞形質の獲得などに関与することが明らかとなっている。そこで、本研究では口腔扁平上皮癌細胞が分泌するエクソソームに発現されるPD-L1による口腔癌の免疫回避機構と悪性形質獲得への影響について検討することとした。今年度はまず口腔扁平上皮癌細胞株ならびに健常人歯肉より分離した口腔粘膜上皮細胞、不死化正常口腔粘膜上皮細胞株:RT-7の培養上清よりエクソソームを分離し、エクソソームにおけるPD-L1の発現をWestern blotting法にて比較検討した。その結果、口腔扁平上皮癌細胞分泌エクソソームにおけるPD-L1の発現は正常口腔粘膜上皮細胞よりも亢進していた。次に、がん細胞発現PD-L1のintrinsicな作用について検討するため、PD-L1の高発現が認められた舌扁平上皮癌細胞株SASにPD-L1-siRNAをトランスフェクションし、増殖能、浸潤能、遊走能への影響について検討した。その結果、PD-L1ノックダウン細胞の増殖能はコントロール細胞と比較して同程度であったが、浸潤能および遊走能は有意に低下していた。このことから、口腔扁平上皮癌細胞に発現されるPD-L1はがん細胞の悪性形質獲得に関与していることが示唆された。そこで現在は、両細胞の培養上清より分離したエクソソームでSAS細胞を処理し、エクソソームに発現されるPD-L1の口腔扁平上皮癌の悪性形質獲得への影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画していた研究は概ね実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、エクソソームPD-L1のCD8T細胞の活性に及ぼす影響について検討するとともに、OSC細胞分泌エクソソームにおけるPD-L1の発現誘導機構について、Stem cell signaling pathways (OCT4, SOX2, TAZ, YAP)、 Constitutive oncogenic signaling (EGFR)、Genomic aberrations (Copy number gain, 3’-UTR disruption)、 Extrinsic factors (IFN-γ, TGF-β, IL-17, TNF-α, HIF-1α)、 Oncogenic miRNAs (miR-18a, 20b, 21)などの関与について検討を行う。さらに、マウスを用いてPD-L1高発現エクソソームの腫瘍進展、免疫病態に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究遂行に必要なPD-L1抗体、トランスフェクション試薬、エクソソーム分離試薬などは既に他の研究目的で所有していたため。
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