2019 Fiscal Year Research-status Report
Usefulness of Wnt5a and Ror2 as the biomarkers related to malignancy in oral squamous cell carcinoma
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19K19202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 泰基 九州大学, 大学病院, 医員 (10805261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / Wnt5a / Ror2 / CK19 / 頸部リンパ節転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)の転移プロセスへのWnt5a-Ror2シグナル経路の関与について検討を進め、Wnt5aおよびRor2をOSCCの診断・治療におけるバイオマーカーとして確立することを目的としている。研究過程において、Wnt5aおよびRor2が高発現している口腔扁平上皮癌細胞株であるSQUU-B細胞において、Wnt5aまたはRor2をノックダウンすることによって、cytokeratin (CK) 19の発現量が有意に低下することを認め、Wnt5a-Ror2シグナル経路における下流分子として着目し、研究をすすめた。 CK19は、細胞骨格としての機能を果たす一方、非小細胞肺癌の有用なマーカーとして臨床応用されており、OSCCでの発現も近年報告されてきている。しかし、その報告数はまだ少なく、詳細な分子メカニズムおよびWnt5a-Ror2シグナル経路との関連は不明であり、CK19の発現および機能解析を行うことはOSCCにおける転移プロセスの解明につながると考えた。 発現検索のために、OSCC生検組織においてCK19の免疫組織化学的染色を行ったところ、症例によって癌組織におけるCK19の発現程度は様々であった。そこで、CK19の発現程度の違いで高発現群、中発現群、低発現群の3群に分けて臨床病理組織学的所見との関連について検討したところ、CK19高発現群において組織学的悪性度の高い症例が多く、頸部リンパ節転移の発生頻度が有意に高いことが判明した。Wnt5aおよびRor2について免疫組織化学的染色を行った場合においても、Wnt5aおよびRor2高発現群にて有意に組織学的悪性度が高く、頸部リンパ節転移の発生頻度が高かったことから、Wnt5a-Ror2シグナル経路においてCK19がOSCCの浸潤・転移のプロセスに関与している可能性を示唆する意義のある重要な結果と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OSCCの浸潤・転移のプロセスへのWnt5a-Ror2シグナル経路の関連を解明する上で、CK19というシグナル経路に関与する可能性のある分子を見出し、免疫組織化学的染色によるOSCC組織での発現検索および臨床病理組織学的所見との関連についての検討を行い、論文発表に至ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度までに購入していた免疫組織化学的染色の試薬および実験器具を主に用いて研究を実行できた。そのため、本年度の科研費の一部を次年度以降の細胞研究およびマウスを用いた研究へ向けて繰り越すこととした。今後は当初の研究計画に則り、Wnt5a-Ror2シグナル経路の下流分子である可能性のあるCK19が、OSCC細胞の浸潤・遊走能にどのように影響しているかを検討する。また、転移プロセスの解明のために、転移リンパ節組織におけるWnt5a、Ror2およびCK19の発現の局在について免疫組織化学的に検索し、ヌードマウスを用いたin vivoでの転移能の解析、そして患者血清中におけるWnt5aおよびRor2の発現量の検討へとつなげ、Wnt5aおよびRor2がOSCCの診断・治療におけるバイオマーカーとして有用であるかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、先行研究を元に、前年度までに購入していた免疫組織化学的染色の試薬および実験器具を主に用いて研究を実行できたため、予定よりも使用金額が少なかった。しかし、次年度では、当初の研究計画に沿って、本年度で見出したCK19がOSCC細胞の浸潤・遊走能にどのように影響するかを検討するためのMatrigel invasion assayおよびwound healing assay等の細胞機能実験用のキット、免疫組織化学的染色用の新たな試薬、Wnt5aおよびRor2の抗がん剤抵抗性を検討するための各種抗がん剤およびヌードマウス等の購入を予定しているため、繰り越した分を次年度で使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Cytokeratin 19 as a marker of highly invasive oral squamous cell carcinoma with metastatic potential2020
Author(s)
Shoichi Tanaka, Shintaro Kawano, Taichi Hattori, Ryota Matsubara, Taiki Sakamoto, Yuma Hashiguchi, Naoki Kaneko, Yurie Mikami, Masahiko Morioka, Yasuyuki Maruse, Ryoji Kitamura, Eiki Hamada, Megumi Hiwatashi, Kazunari Oobu, Tamotsu Kiyoshima, Seiji Nakamura
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Journal Title
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
Volume: 32
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Involvement of increased cytokeratin 19 expression via down-regulation of ΔNp63 in invasion and metastasis of oral squamous cell carcinoma2019
Author(s)
Shoichi Tanaka, Shintaro Kawano, Taichi Hattori, Taiki Sakamoto, Yuma Hashiguchi, Naoki Kaneko, Yurie Mikami, Masahiko Morioka, Yasuyuki Maruse, Ryoji Kitamura, Eiki Hamada, Megumi Hiwatashi, Kazunari Oobu, Tamotsu Kiyoshima, and Seiji Nakamura
Organizer
7thWorld Congress of the International Academy of Oral Oncology (IAOO)
Int'l Joint Research
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