2020 Fiscal Year Research-status Report
Usefulness of Wnt5a and Ror2 as the biomarkers related to malignancy in oral squamous cell carcinoma
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19K19202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 泰基 九州大学, 大学病院, 助教 (10805261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / Wnt5a / Ror2 / 予後予測因子 / Dkk-1 / Dkk-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)の転移プロセスへのWnt5a-Ror2シグナル経路の関与について検討を進め、Wnt5aおよびRor2をOSCCの診断・治療におけるバイオマーカーとして確立することを目的としている。 OSCC生検組織におけるWnt5aおよびRor2の免疫組織化学的な発現様式と予後との関連について検索を行ったところ、疾患特異的累積5年生存率は、Wnt5aおよびRor2ともに高発現している群(A群)が61.0%、Wnt5aまたはRor2のどちらか一方が高発現している群(B群)が85.4%、Wnt5aおよびRor2ともに低発現している群(C群)が92.3%であり、A群はBおよびC群と比較して有意に予後不良であった。この結果は、Wnt5aとRor2が共役して機能することでOSCCの進展に必要であることを示すと同時に、予後予測因子としても有用であることを示唆している。 また、これまでの研究過程において、Wnt5aおよびRor2が高発現している口腔扁平上皮癌細胞株であるSQUU-B細胞において、Wntアンタゴニストとして報告されているDkk-1およびDkk-3がほとんど発現していないことが認められ、Dkk-1および3の発現減弱がWnt5aおよびRor2の高発現に関与している可能性が考えられ、Wnt5a-Ror2シグナル経路を解明する上での重要な知見と思われる。現在、OSCC生検組織におけるDkk-1およびDkk-3の発現を免疫組織化学的に検索中であり、Dkk-3についてはWnt5aやRor2と同様にOSCC細胞の細胞膜および細胞質に強く発現している群もあり、今後多重免疫組織化学的染色や細胞における蛍光多重免疫染色により発現様式の違いを検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、研究室への出入りも制限される中で思うように研究をすすめることができなかった。しかし、その中でも統計学的にWnt5aおよびRor2が共役することでOSCCの進展に関与して予後不良となることが認められ、バイオマーカーとして確立する上でも重要な知見と思われるため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り、Wnt5a-Ror2シグナル経路の下流分子である可能性のあるCK19が、OSCC細胞の浸潤・遊走能にどのように影響しているかを検討する。また、転移プロセスの解明のために、転移リンパ節組織におけるWnt5a、Ror2およびCK19の発現の局在について免疫組織化学的に検索し、ヌードマウスを用いたin vivoでの転移能の解析、そして患者血清中におけるWnt5aおよびRor2の発現量の検討へとつなげ、Wnt5aおよびRor2がOSCCの診断・治療におけるバイオマーカーとして有用であるかを検討していく予定である。 また、Dkk-1およびDkk-3についてもOSCC細胞および生検組織における研究をすすめ、Wnt5aおよびRor2が進展させるOSCCにおいて、その阻害因子(治療薬)となりうるかの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルスの影響により研究室への出入りが制限され、また学会が中止またはWEB開催となったことで旅費として使用することがなかったことが次年度使用額が生じた大きな要因である。次年度では、当初の研究計画に沿って、浸潤・遊走能を検討するためのMatrigel invasion assayおよびwound healing assay等の細胞機能実験用のキット、Dkk-1およびDkk-3を含めたPCR用および免疫組織化学的染色用の新たな試薬、Wnt5aおよびRor2の抗がん剤抵抗性を検討するための各種抗がん剤およびヌードマウス等の購入を予定しているため、繰り越した分を次年度で使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Refeeding syndrome を疑った口底癌術後患者の 1 例2020
Author(s)
濱田 栄樹, 坂本 泰基, 川野 真太郎, 丸瀬 靖之, 橋口 有真, 服部 多市, 田中 翔一, 白石 由梨香, 樋渡 萌美, 大部 一成, 中村 誠司
Organizer
第88回日本口腔外科学会九州支部学術集会