2019 Fiscal Year Research-status Report
経動脈除脳灌流標本を用いた気道確保困難時の病態解析
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19K19209
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
立川 哲史 昭和大学, 歯学部, 助教 (60781036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経動脈灌流標本 / 呼吸 / CVCI / 組織酸素分圧評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中二酸化炭素(CO2)濃度の上昇により動脈血液中のpHが低下すると、呼吸リズムを変化させることが知られている。除脳ラット経動脈灌流標本を用いて、上気道構成筋群、胸郭を支配する運動神経の活動への影響を調べた。 除脳ラット灌流標本を作製し、横隔神経(PN)、第一、第二頸髄神経の枝(CN)、上喉頭神経(SLN)、舌下神経(HGN)、反回神経(RLN)、肋間神経(ICN)から、呼吸に同期した複合活動電位を記録し、運動神経の記録を筋活動の指標にした。 CO2濃度上昇により、上気道開大筋群の神経活動は横隔膜の神経活動開始のタイミングを基準として有意に先行して記録された。また、上気道開大筋群の中においても、神経活動の発火のタイミングに差が生じた。さらに、呼息筋である腹直筋においては、呼息相に強く運動神経の活動が記録された。 経動脈除脳灌流標本は、麻酔薬の影響を排除でき、かつ循環動態を評価できる。既存の脈管系を利用することにより、灌流液を組織の深部にまで流す事が可能なこのモデルでは、従来難しかった新生児期以降の動物の自発呼吸活動を記録することができる。理論上では、脳幹部の組織の酸素分圧は十分あるはずだが、実際の計測値は得られていない。そこで、低酸素状態を正確に評価するため、経動脈除脳灌流標本の脳幹部の組織酸素分圧を測定し、評価を行った。 CO2濃度の上昇により、上気道を構成する各筋群が先行して活動することにより、効率的な上気道の開存性向上、協調を取ることが示され、さらに、呼息筋である腹直筋、肋間筋の運動がより強力に活動し、強制換気による高二酸化炭素血症を改善する効率的かつ生体変化に合目的な変化である可能性が示唆された。なおこれらの研究成果は2019年12月21日開催の第8回スポーツ運動科学学術研究発表会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素濃度評価や標本の作製などは順調に進行しており、概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験の予備実験に関わっていただいた中山希世美先生らの在籍している口腔生理学教室と歯科麻酔科学教室は連携が取れており、当科の院生が研究を行うため、定期的に口腔生理学教室の研究室にて研究を行っている。また、研究が難航した時に備え、申請者の現在の研究活動に指導を頂いている、飯島 毅彦教授(昭和大学歯科麻酔科学教室)をはじめとして、呼吸の研究分野において、呼吸のペースメーカーニューロンの発見や様々な功績を持つ、鬼丸 洋 客員教授(昭和大学生体調節機能学)や、三叉神経領域をはじめ、Phox2b陽性ニューロンを持いた研究にて実績を上げている、井上 富雄教授(昭和大学口腔生理学教室)から、技術提供、指導を得られる状態である。
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Causes of Carryover |
当初使用を予定していた物品費や実験動物に使用する予定であったラットなど、口腔生理学教室にて利用することができた。しかしながら、次年度では、試薬の増加など、今年度より支出の増加が見込まれる。
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