2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト歯髄幹細胞由来の力学的強度を有する三次元軟骨再生法の開発にむけた前臨床試験
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19K19210
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
菅野 勇樹 東京医科大学, 医学部, 助教 (80451813)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 軟骨再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる2019年度は、予備実験として主にヒト歯髄幹細胞の軟骨細胞への分化誘導能の確認を行った。これまでに、東京医科大学病院歯科口腔外科・矯正歯科において、患者の同意を得たうえで、Grontohsらの手法 (Gronthos et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2000) を用いて抜去歯からヒト歯髄幹細胞を採取し、応募者の所属研究施設において、これまでに確立した培養法で単離・培養した。2世代に渡る継代培養を経たのちに、Metaらの方法に従って、ヒト歯髄幹細胞の培養を行った(Mata et al. Stem Cells Int.2017)。Metaらの方法においては、良好な細胞の増殖を認め、通常培地や研究者の施設で用いている骨分化誘導培地を比較して、アルシアンブルーおよびトルイジンブルーに濃染を示したことから、軟骨細胞への分化が進んでいることが示唆された。 さらに、近年軟骨への分化誘導能が報告されている低分子化合物であるThienoindazole Derivative(TD-198946、以下TD)を軟骨培地に追加して培養を行い最適なTDの濃度を検索した。1アルシアンブルーおよびトルイジンブルーによる染色では明らかな差が見られなかったが、RT-qPCRにおいては10-7 M のTDにおいて、Colla1α1およびColla12α1の発現が増加していたことから、TDの最適濃度が10-7 Mであることが示唆された。 今後は低コストかつ高効率の軟骨培養方法を検索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度となる2019年度は、予備実験として主にヒト歯髄幹細胞の軟骨細胞への分化誘導能の確認を行った。抜去歯からヒト歯髄幹細胞を採取し、これまでに確立した培養法で単離・培養を行うことまでは順調であった。しかしながら、初年度においては、比較対象となる培地として様々な培地において比較を行ったことにより時間を要した。また、細胞株による増殖能の個体差によって、過増殖状態となり死滅してしまう細胞株も散見された。このことから、同一株内においても2,3,4,5,6週それぞれの培養期間を検討するする必要が生じ、この部分にも時間を要した。そのため、RT-qPCRによるRNAレベルでの軟骨細胞の確認も不十分であると思われ、遅延を生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、われわれは高効率な軟骨細胞への分化誘導を目標としている。 初年度において研究計画に遅延が生じていると考えられるため、近年軟骨への分化誘導能が報告されている低分子化合物であるThienoindazole Derivative(TD-198946、以下TD)に関しても並行して研究を進めている。 初年度においては、軟骨培地に追加して培養を行い最適なTDの濃度を検索した。その結果、TDの最適濃度が10-7 Mであることが示唆された。しかしながら、軟骨培地単独とTDの添加においては有意な差を認めなかった。 今後は、TD単独での培養も並行して進めることにより、低コストかつ高効率の培養を目標として、研究を遂行していこうと考えている。
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Causes of Carryover |
採択された初年度の交付額が予定より低く、またメディウムや成長因子を想定よりも多く購入する必要が生じたため,次年度配分額と合わせて使用することとした.
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Research Products
(5 results)