2020 Fiscal Year Research-status Report
The Brain Activation in the patients with Burning Mouth Syndrome -Paina Alleviating by Sweet stimulation-
Project/Area Number |
19K19211
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡邉 素子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (70778620)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 舌痛症 / 味覚 / 口腔異常感症 / 脳画像 / 脳機能 / 脳内ネットワーク / 慢性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究所属機関の変更に伴い、研究手法の大幅な見直しが必要となったが、歯科心身医療外来に所属し、舌痛症患者を含めた多くの歯科心身症患者において研究を進めることが可能となった。 まず、舌痛症患者における臨床的特徴を臨床統計的に検討した。舌痛症患者では口腔内の灼熱感という典型的な症状だけでなく、「甘い、しょっぱい、苦い、酸っぱいの違いは分かるが、何を食べていてもおいしくない」や「何も食べていなくても、口の中が甘酸っぱい」、「金属のような嫌な味がする」などの味に関する訴え、また「口の中がねばねば、べたべたする」、一方で「口が乾く感じがする」といった口腔乾燥感や唾液分泌過多感などの不快感の訴えも認められた。このような口腔内の不快感を主症状とする患者において撮像されたMR画像をRetrospectiveに解析し、さらに臨床症状と照らし合わせて検討した。これにより、口腔内の不快な症状には、末梢神経系(Peripheral Nervous System)の関与だけでなく、より上位の中枢神経系(Central Nervous System)のメカニズムが関与している可能性が推察された。 さらに2020年度は、当科を初診した舌痛症患者における主観的な味覚強度のデータを収集し、分析を進めた。甘味だけでなく、塩味、酸味、苦味に対する味覚閾値を測定し、さらにそれら味覚刺激による口腔内症状の変化を測定した。今後は解析を進め、これらの味覚刺激と灼熱感を主とする口腔内症状との関連をCentral Nervous Systemの関与を視野に研究を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究所属機関の変更に伴い、研究手法の大幅な見直しを行った。これまで計画していたfunctional MRIを用いることが困難となったが、脳機能を調査する手法としてSingle Photon Emission Computed Tomography (SPECT) の使用や構造的な脳ネットワークを調べる拡散テンソル画像の使用についても検討し、データ収集を始めている。 また、2020年度はCOVID-19感染拡大防止のため、初診患者の受け入れ休止や再診患者の診療延期、さらに患者自身の受診抑制の影響もあり、舌痛症患者の受診数は半減した。進捗状況はやや遅れてはいるものの、歯科心身医療外来に所属したことで、昨年度に想定していたよりも多くの舌痛症患者においてデータを収集し解析することが可能となった。口腔内の不快感を訴える患者の臨床的特徴とMR画像とをRetrospectiveに比較することで、多彩で重篤な臨床症状とCentral Nervous Systemの関与が推察された。また、2020年度に当科を初診した舌痛や口腔内の不快感を訴える患者のうち、約35名において味覚刺激(甘味、塩味、酸味、苦味)に対する味覚閾値を測定した。さらに、味覚刺激によって、口腔内の灼熱感をはじめとする不快な症状がどのくらい変化するのかを測定した。症状が全く変わらないケースもあれば、大幅に改善するケース、また味の強さによって、症状が増悪したり軽減したりするケースなどが認められ、今後解析を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
味覚刺激に対する口腔内症状の変化だけでなく、舌痛症患者の多様な臨床的特徴と脳機能との関連を解析する。まず2021年度においては、前述の脳機能画像や脳内ネットワークを解析するために、舌痛症患者における脳画像データの収集を進める。さらに得られた脳画像のデータ分析、解析方法についても検討を加える必要がある。東京都におけるCOVID-19の感染状況によって舌痛症患者における受診件数は減少しており、今後の進捗についても緩やかになる可能性がある。その場合においても、これまでに蓄積したデータとのRetrospectiveな比較検討も加えるなど、よりスムーズに研究が遂行できるように努める。 さらに、データ解析を経て研究報告会、学会などで発表を行い、考察を深めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたfMRIの使用が困難となったこと、また研究所属機関の変更に伴い、研究手法の見直しを行ったため、検査撮像に要する費用が余剰分として計上されている。またCOVID-19感染拡大防止のための緊急事態宣言によって、研究打ち合わせや学会の中止、Web開催などによって旅費などが未使用となった。 今年度は各種検査およびデータ解析のための消耗品としての支出や、学会発表、論文作成時の校正料、投稿料などが発生する予定である。
|