2019 Fiscal Year Research-status Report
抗PD-L1抗体薬を用いた口腔癌における超選択的動脈内注入化学療法の新開発
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19K19214
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐久間 要 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (70733319)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗PD-L1抗体 / 超選択的動注化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
超選択的動注化学療法は腫瘍の栄養動脈に直接カテーテルを挿入し、抗癌剤を投与する方法である。少量投与で高濃度の抗癌剤が腫瘍内に取り込まれることから、高い抗腫瘍効果が得られ、さらに副作用が出現しにくい利点がある。また、近年プラチナ製剤既治療症例に対する、免疫療法が口腔癌治療の第4の柱として期待されている。腫瘍細胞は、しばしば免疫チェックポイントであるPD-L1 を過剰発現するため、各癌腫で治療対象として注目されている。しかし、免疫療法は1型糖尿病など重篤な免疫関連有害事象(irAE)が報告されている。そこで、PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブを動注療法で、局所に少量投与することで抗腫瘍効果が最大限に得られ、用量を少なくできることからirAEの軽減と医療費の削減にもつながる。今回、基礎的検討としてマウスを用いて低用量局所投与と静脈全身投与の抗腫瘍効果およびPD-L1の発現を比較検討している。まず先立って抗PD-1抗体で同様の試験を行った結果、まずSq-1979R細胞株のPD-L1をフローサイトメトリーで定量して発現を確認した。続けてC3H/HeNマウスにSq-1979R細胞株を移植し、抗PD-1抗体薬の局所少量投与群(10μg/body)、全身投与群(100μg/body)、Control群(PBS)に振り分け、腫瘍縮小率で抗腫瘍効果を比較検討した。その結果、少量投与群と全身投与群で同程度の抗腫瘍効果があり、両群ともControlと有意差(p<0.05)を認めた。今後は、摘出した検体で免疫関連遺伝子の発現の有無を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シスプラチン耐性株の樹立:C3Hマウス頬粘膜口腔扁平上皮癌細胞株であるSq-1979Rの作成にも時間を要している。また、C3H/HeNマウスの背部皮下に口腔癌細胞株を移植した段階で、生着は認めるが、生着を要するまでに約1ヶ月かかるため評価に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗PD-L1抗体薬の局所少量投与群(10μg/body)、全身投与群(100μg/body)、Control群(PBS)に振り分け、腫瘍縮小率で抗腫瘍効果を比較検討する。また、全生存率(OS)も比較検討する。さらに、投与後の皮下で増殖した腫瘍を摘出し、免疫関連遺伝子の変化に関してさらに細かく分析を行っていく。
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Causes of Carryover |
RT-PCRでRNA量を測定するQubit3 Fluorometer(Thermo Fis her Scientific)を初年度に購入予定であったが、研究室の関係で本年度購入予定となった。
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