2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of the additive manufacture porus titanium having newly bone formation
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19K19216
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
井上 和也 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00761503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 混酸加熱処理 / 選択的レーザー溶融法 / チタン / 皮質骨 / 力学試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域において顎骨欠損が生じた場合高度な再建手術が必要となるため, 積層造形技術の再建医療への応用が期待されている. 再建医療として積層造形法によるフリーカスタムメイドの再建材料の開発や, チタン表面の骨形成能を向上させる新たな表面処理の開発が行われているが, チタンと骨表面との骨結合を評価した研究は少ない. 骨形成能を促進させる混酸加熱処理法Mixed-acid and heat treatment (以下、MAH法)を複合させた次世代再生チタン人工骨開発を目的に研究を行っている. [研究内容]ラット頭蓋骨に適合する屈曲率を有するチタン人工骨を積層造形法にて作製した. チタン人工骨は, 表面処理として混酸加熱処理を行ったMAH群と,表面処理を行わない無処理群とを比較検討した. ラットの頭蓋骨表面とチタン人工骨をスクリューにて固定した. 埋植後1, 4, 8, 12週後に頭蓋骨を摘出し, 24時間以内に力学試験を行い骨とチタンとの結合力を評価した. また骨より引き剥がされた試験片を電子顕微鏡及び非脱灰研磨標本, V.Goldner染色による組織学的観察を行った. 結合力評価試験において, 無処理群と比較しMAH群の骨結合力は有意に上昇していた. 組織学所見においてもMAH群ではチタンと皮質骨表面に活発なリモデリング像・骨形成像が認められた. また水接触角による親水性評価ではMAH群では無処理群と比較し表面の濡れ性状が明らかに上昇していた. MAHにより, 早期かつ強固な皮質骨とチタンの結合が行われることを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験自体は軽微な計画の変更はあるもののおおむね順調に進んでいる.しかしながら今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて海外・国内学会が延期・オンライン開催となったことによる影響を受けた.
研究成果が海外雑誌Materialsに掲載された.現在その他の海外雑誌に論文を投稿中である.動物実験にて混酸加熱処理が骨(皮質骨)との結合力を上昇させることを明らかとした.また本研究内容をもってEACMFS Congress2020(フランス・パリ)に参加する予定であったが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の為に学会が延期となった.2021年にオンラインにて開催される同Congressに参加する予定である.
積層造形チタン及び混酸加熱処理における表面濡れ性状を水接触角による計測を行い評価している.結果混酸加熱処理を施した積層造形チタンは無処理のチタンと比較し親水性が向上していることが明らかとなった. 現在は多孔構造を有する積層造形チタン人工骨の形状を変更しラットを用いた試験を実施している.ラット頭蓋骨に積層造形チタンの埋植を行い非脱灰研磨標本・V.Goldner染色による骨欠損内部への骨新生を評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
骨欠損部への補填材として混酸加熱処理を施した積層造形チタンを埋植し骨形成促進機能を明らかとした.今後は骨補填材として積層造形チタンを用いた研究と平行して、生体ガラスにも着目をして研究を遂行する予定である.生体本来の治癒能を活用するため傷からの浸出液を保存する Moist wound healing が推奨されている.湿潤環境を保つのに適したホウ酸ガラス繊維(以下13-93B3: 6.0Na2O,7.9K2o,7.7MgO,22.1CaO,54.6B2O3, 1.7P2O5(mol%))は皮膚の創傷を早期に治癒させたと報告(biomaterials 532015.p379-391)されており、FDA承認を受けている.われわれは本技術に着目し抜歯後の骨欠損部位に13-93B3 を填入することで治癒が促進され、良好な骨形態の回復につながるのではないかという着想に至った.しかしながら13-93B3の骨欠損への影響を明らかにした報告はない為、同実験計画を立案した.本年度末にプレ実験としてラット頭蓋骨に骨欠損を作製し13-93B3を埋植した.ラット頭蓋骨欠損に13-93B3を埋植12週後に安楽死させ、マイクロCTを用いて、ラット試験片の骨形成評価を行う.実験手技や必要な機材に関しては準備が完了している状態である.次年度はラット匹数を増やして実験を行う計画である.また非脱灰研磨標本作製しHE , Von Kossa染色を行い骨形成を組織学的に評価する予定である.
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Causes of Carryover |
全世界的な新型コロナウイルス感染症感染拡大の為に,2020年にフランス・パリで開催予定であったEACMFS2020が翌年へと延期となった.また国内学会もオンライン等での開催となった. そのために旅費が次年度への繰り越しとなった大きな要因と考えられる. 次年度は延期となった学会への参加、ラットを用いた試験を行う為、ラット・実験備品、非脱灰研磨標本作製する為の作成費に使用する予定である.
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 加熱処理によるブラスト・酸処理チタン製歯科用インプラントへのアパタイト形成能付与2021
Author(s)
小倉 綾乃, 山口 誠二, 澤井 恭久, 今川 尚子, 鈴木 慶, 大森 実知, 井上 和也, 小越 菜保子, 中島 世市郎, 中野 旬之, 植野 高章, 森 悦秀
Organizer
公益社団法人日本セラミックス協会2021年年会
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