2019 Fiscal Year Research-status Report
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死を考慮した疎水性薬剤内包超分子ミセルによる骨代謝薬の創製
Project/Area Number |
19K19224
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺内 正彦 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (10781742)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨粗鬆症 / ARONJ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の日本において、推定1280万人が罹患していると考えられる骨粗鬆症はその治療としてはビスフォスフォネート製剤(BP製剤)の投薬が主流であるものの、長期のBP製剤の投薬により、顎骨の壊死が生じる骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)が歯科領域では問題になっている。そこで本研究では、超分子構造を有するポリロタキサン(PRX)に着目した。このPRXは線状分子のpolyethylene glycol(PEG)内に冠状分子であるCyclodextrin(CD)が複数貫通したネックレス様構造を有しており、CDはPEG上を自由運動するという特異的な構造を有している。本研究では、このPRXを用いることにより、新規骨粗鬆症薬の可能性を探求することを目的としている。2019年度は予備実験としてRAW264.7細胞にRANKLを添加することで破骨細胞を作製した。このRANKL添加時にβ-CDも同日に添加することにより、破骨細胞への分化を制御に関して評価したところ、未添加群と比較して、有意な発現量の低下を認めた。 今後は様々な大きさと異なる種類の官能基を修飾したCDを準備し、破骨細胞へ与える影響に関して評価する。また、最適なCDを基盤と下PRXを合成する。このPRXを用いて破骨細胞分化制御の機序と考えられているコレステロールの発現量や因果関係を調査することにより、BPとARONJとの関係や骨粗鬆症薬としての基盤を構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は予備実験として、マウス由来マクロファージであるRAW264.7細胞にRANKLを添加することで破骨細胞を作製した。この時にCDの1つであるHydroxypropyl-β-CDを添加することにより、破骨細胞への分化を制御する可能性を評価した。具体的には、分化マーカーの一つであるTartrate-Resistant Acid Phosphatase(TRAP)により評価したところ、未添加群と比較して、有意な発現量の低下を認めた。これは破骨細胞周囲に存在するコレステロールとの関与が示唆された。また、骨芽細胞の分化促進を目的とし、骨成長因子とマイナス電荷高分子との複合体を調製、添加することにより、骨芽細胞前駆細胞の分化促進が促されることを確認した。以上より、計画上の予備実験を予定通り終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は様々な大きさと異なる種類の官能基を修飾したCDを準備し、破骨細胞へ与える影響に関して評価することで、最適なCDを決定し、最適だと思われるCDを用いたPRXを合成する。これまでと同様にRAW264.7 cellを用いて評価を行うことで、破骨細胞への制御が可能かを評価する。また、破骨細胞分化制御の機序と考えられているコレステロールの発現量や因果関係を調査することにより、BPとARONJとの関係や骨粗鬆症薬としての基盤を構築する。
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Causes of Carryover |
2019年度は得られた研究成果を筆頭論文にて作成できたことから、論文掲載費や英文校正費、学会発表費用は予定通り支出した。予定していた実験に関しては当該分野にある試薬・設備で、ほとんど補えたことから、最低限の試薬費用のみの使用で実験を行え、物品費を抑えることができたため、来年度に繰り越し、今後の研究に用いることとした。
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Research Products
(8 results)