2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死を考慮した疎水性薬剤内包超分子ミセルによる骨代謝薬の創製
Project/Area Number |
19K19224
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺内 正彦 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (10781742)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 骨粗鬆症 / ARONJ / 口腔外科 / バイオマテリアル / ポリロタキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症やがんの骨転移や多発性骨髄腫などに対して使用されるビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体製剤デノスマブの長期投与は顎骨壊死を発症する可能性があり、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)として歯科領域において昨今の課題となっている。そこで本研究では顎骨壊死を誘発しない骨粗鬆症薬の開発を目標とし、超分子ポリロタキサン(PRX)を用い、コレステロールを制御することでの破骨細胞の分化制御方法を立案した。遊離コレステロールは破骨細胞形成を制御する核内受容体であるERRαに対する内因性アゴニストとして作用する。RANKLでマクロファージを刺激すると、遊離コレステロールが過剰になり、ERRαが活性化されることから、細胞内のコレステロールを直接除去すれば破骨細胞形成が抑制されると仮定した。実験内容としてRAW264.7細胞のRANKLによるコレステロール過剰負荷および破骨細胞分化に対するHP-β-CDおよびPRXの効果について検討した。結果として、PRXはRANKL誘発のコレステロール過剰摂取を抑制した。さらにRANKLによるRAW264.7細胞の破骨細胞分化はPRXによって抑制された。一方、HP-β-CDは、RAW264.7細胞のコレステロール値を低下させず、破骨細胞分化を抑制しなかった。破骨細胞マーカーの遺伝子発現解析からPRXは多核破骨細胞に内在化できないため、破骨細胞分化の初期段階のみを抑制することが示唆された。しかし、PRXを細胞侵入性ペプチドで修飾すると多核破骨細胞への細胞内取り込みが容易になり、破骨細胞の成熟が抑制されることがわかった。このようにPRXはコレステロールの過剰摂取を抑制して破骨細胞の分化を抑制する有望な候補であり、破骨細胞の過剰な活性に起因する骨粗鬆症やその他の骨欠損の治療に役立つ可能性がある。
|
Research Products
(1 results)