2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト間葉系幹細胞を利用した効率的な新規口唇口蓋裂治療戦略
Project/Area Number |
19K19231
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奈良井 節 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (40569266)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 口唇口蓋裂 / 骨芽細胞 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂は400~600人に1人の割合で認める頻度の高い先天性疾患であり、顎裂および鼻変形に対して通常6~10歳頃に手術による患者自身の腸骨や肋軟骨および耳介軟骨移植など行われている。しかしこの方法は提供側と移植側の2ヶ所の手術野が必要であり低年齢の患者にとっては手術侵襲が大きな治療である。また移植した骨、軟骨の十分な再生が認められない場合もありしばしば再手術が必要となる。したがって、低侵襲で効率的な骨および軟骨再生が可能となれば、従来よりも効果的な口唇口蓋裂治療が可能となる。しかしながら、現在そのような治療法は存在しない。 再生医療分野においてヒト間葉系幹細胞 (Human Mesenchymal stem cell: HMSC) の組織分化能に注目が集まっている。骨、軟骨、脂肪等に分化し臨床現場でも応用されつつあるが十分な成果は得られていない。原因としては、目的とする組織に分化するまでに要する期間や、分化頻度の低さのため大量のHMSCの採取が必要となる点が挙げられる。そのため、HMSCから目的とする組織への効率的で低侵襲な分化方法の樹立が急務である。 本研究では、骨および軟骨に分化した生細胞の純化と分化誘導効率化を目指す。現在までに我々は、成熟骨芽細胞特異的な内在性分化マーカーの一つであるオステオカルシンの発現の緑色蛍光タンパク質を指標に、生細胞で骨分化モニタリングおよびソーティングにより純化しうるヒト不死化間葉系幹細胞株を樹立した(論文投稿中)。そして作製したモニター細胞を利用して、現在トランスクリプトーム解析による骨芽細胞特異的表面マーカーの検索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成熟骨芽細胞特異的な内在性分化マーカーの一つであるオステオカルシンの発現の緑色蛍光タンパク質を指標に、生細胞で骨分化モニタリングおよびソーティングにより純化しうるヒト不死化間葉系幹細胞株を樹立した。このモニター細胞は骨分化過程で、オステオカルシンの上昇のみならず、他の骨分化マーカーであるアルカリフォスファターゼの上昇や、アリザリンレッド染色による石灰化も確認済である(論文投稿中)。作製したモニター細胞を利用して、現在トランスクリプトーム解析による骨芽細胞特異的表面マーカーの検索を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、骨分化モニター細胞の作製は成功したので、引き続き軟骨分化モニター細胞の作製を行う。作製したモニター細胞を利用して骨・軟骨分化段階の細胞の収集および特異的細胞表面マーカーの同定を行っていく。
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Causes of Carryover |
2019年度は骨分化モニター細胞の作製を優先して行ったため、軟骨分化実験使用分の研究費の差額が生じた。差額については2020年度に軟骨分化実験に使用を予定している。
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