2019 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞の免疫制御機構を応用した新たな難治性顎骨壊死根治療法樹立の試み
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19K19242
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小松 祐子 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (90781625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顎骨骨髄炎 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、① ビスホスホネート(BP)あるいはその他の顎骨壊死(ONJ)関連性薬剤によるONJモデルマウスでは、組織修復性と抗炎症性を併せ持つ間葉系幹細胞(MSC)がどのような機能障害を受けるのかについて明らかにすること、さらに ② MSC移植による難治性ONJ根治療法樹立のため、MSCの抗炎症性作用を最大限に発揮するための細胞分子生物学的な基盤を確立することにある。 初年度(2019年度)は、BPの投与により作製されたONJモデルマウスにおいてMSCがどのような機能障害を受けるのかについて明らかにするための準備的なin vitro実験として、MSCに対して投与するBPの濃度変化に応じたMSCの細胞生存率の変化や遺伝子発現変化の概要について調査中である。とくに、生体内血中細胞濃度(Cmax)を超えた高濃度のZAの投与では、MSCの細胞生存率の低下が観察されたことから、現在、MSCに対する細胞生存率の低下を認めないZA上限濃度を決定すべく調査を継続している。また、骨髄由来MSCとマクロファージ(MΦ)とのin vitro共培養系に対し、この上限濃度でZAを投与した際にそれぞれの細胞でみられる遺伝子発現変化について、ケモカインやサイトカインを中心として調査中である。今後、このin vitro共培養系でのケモカインやサイトカインの発現変化を確認した後、この設定濃度でin vivo ONJモデルマウスを作製して、1)MSCの患部組織中へのホーミングの程度の様子や抗炎症性サイトカインとしてのtransforming growth factor (TGF)-βやinterleukin (IL)-10の発現にどのように影響するのか、2)ホーミング後のMSC周囲に遊走したMΦのM1あるいはM2-MΦへの分極化がどのように影響されるかについて明らかとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば、BPなどの投与により作製されたONJモデルマウスにおいて、組織修復性と抗炎症性を併せ持つMSCがどのような機能障害を受けるのかについて、そのターゲット分子のピックアップを開始すべきところ、in vivo実験の条件設定のためのin vitro実験が完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のin vitro実験によるin vivo実験諸条件の設定作業を終了し、ONJモデルマウスにおいて、組織修復性と抗炎症性を併せ持つMSCがどのような機能障害を受けるのかについて調査を進めたい。また、薬剤関連性顎骨壊死の病因を探索するための臨床研究についても計画中である。
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