2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌網羅的遺伝子解析に基づく 免疫チェックポイント阻害薬感受性の評価
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19K19245
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大澤 侑子 東海大学, 医学部附属病院, 臨床助手 (20837976)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 頭頸部扁平上皮癌 / RNA-Seq / 遺伝子変異解析 / NOTCH1 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シーケンサーを用いて口腔扁平上皮癌の臨床標本35症例に対して、76遺伝子の遺伝子変異解析を行った。そのうち4症例はニボルマブ投与症例が含まれる。各症例を、正常粘膜と腫瘍のペアで解析を行い、平均リードデプスは、正常粘膜で×100、腫瘍で×200を目標にシーケンスを行った。対象の遺伝子は、固形がんのドライバー遺伝子(50遺伝子)と、口腔扁平上皮癌を含む頭頸部扁平上皮癌に高頻度に遺伝子変異を認めるもの(39遺伝子、13遺伝子が前者と重複)を対象とした。この76遺伝子にがん関連遺伝子(Cancer Genome census : CGC)は36遺伝子含まれていた。遺伝子変異は合計31か所(20遺伝子)に認めた。最も遺伝子変異が多かった遺伝子はTP53の5か所(全遺伝子変異のうち19.4%)、6症例(全症例のうち17.1%)であり、そのうち1か所の変異は2症例で認めた。ニボルマブを投与した4症例では合計10か所(6遺伝子)に変異を認めた。76遺伝子におけるTMBは症例によって0~4であった。ニボルマブの奏効を認めた症例ではNOTCH1 p.G481S変異のみを認めた。今回、76遺伝子における遺伝子変異数は少なく、症例毎に大きな差は認めなかった。ニボルマブが奏効した症例の、NOTCH1 p.G481S変異は、今までの解析結果から、タンパク構造に変化を及ぼすことが報告されている(BBRC 2014)。また、NOTCH1シグナル伝達経路はT細胞上のPD-1発現に関連すると報告されていることから(Mediators of Inflammation 2015)、今後さらなる解析が必要と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌の臨床標本に対する、次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異解析を開始している。当科におけるニボルマブ投与症例は増えてはいるが、当初予想していた程ではない。また、今後の計画として、遺伝子変異解析の結果と、臨床データからニボルマブの奏効/非奏効で4つの群に分けて、RNA-Seqによる発現の段階での比較を行う計画であるが、ニボルマブの投与により奏効を得られている症例が非常に少ない。今後も、臨床データを得るとともに、サンプル保存と遺伝子解析を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、全エクソームシーケンスによる遺伝子変異解析の結果と、臨床情報からニボルマブ投与による奏効/非奏効によって、4つの群に分類し、RNA-Seqによる発現変動遺伝子の解析を行う計画であるが、ニボルマブ投与の適応症例が今年度は少なかった。さらに、当科でニボルマブの奏効を認めた症例は非常に少ない。引き続き、臨床情報の収集、サンプルの保存を継続する。また、全エクソームシーケンスとRNA-Seqのデータから、遺伝子変異解析と発現変動遺伝子解析のみを行う予定であったが、さらにアレル発現頻度解析を行うことで、ハプロ不全腫瘍遺伝子も考慮した遺伝子解析も行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
消耗品の市場変動により、若干の相違が生じたため。 次年度はエタノールの購入により、差額を使用する。
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