2019 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸トランスポーターSLC15A3による新規がん進展機構の解明
Project/Area Number |
19K19254
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
矢原 寛子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 日本学術振興会 特別研究員(SPD) (10757488)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 腫瘍 / 血管新生 / アミノ酸トランスポーター / SLC15A3 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍内血管新生の新たな制御機構の解明は、新規治療標的分子の同定に繋がり得る重要な課題である。本研究では、SLC15A3欠損マウスでルイス肺がん由来細胞(3LL)による腫瘍形成が亢進し、腫瘍塊では血管新生が亢進したことから、アミノ酸トランスポーターという、従来の着眼点とは異なる新規性の高い分子を手がかりとした新たな血管新生制御機構の解明を目指した。初めに、血管新生の可視化法および定量系の確立を試みた。Luciferase発現3LLを用いて、発光イメージングが可能なIVIS Lumina IIにより、移植した3LLの増殖と転移を経時的に観察する系の構築を行った。しかしながら、細胞の安定性が不十分で、感度は予想より低いものであった。また、マウスの腫瘍塊中の血管走行を比較定量するため、組織透明化三次元イメージング技術CUBICによる透明化とLightsheet Z.1顕微鏡による可視化を試みたが、蛍光標識抗体の静脈投与では可視化が困難であることが明らかとなった。これについて、VE-cadherin-GFPマウスを用いることとした。一方、がんの増殖・転移の亢進に中心的な役割を果たす「責任細胞」の探索では、当初、骨髄(造血系)細胞の一種であるという仮説を有していたが、キメラマウスの実験から、腫瘍内線維芽細胞である可能性が示唆され、ターゲットを変更し研究を進めた。3LLを野生型とSLC15A3欠損マウスに移植し、形成される腫瘍から目的とする線維芽細胞を分離する方法と、単離した線維芽細胞における遺伝子発現の検討を行った。研究室異動により本研究の継続が困難となったため、本年度で廃止となった。
|