2022 Fiscal Year Annual Research Report
下顎骨前上方回転が気道に与える影響の流体力学的解析:睡眠時無呼吸の新規治療戦略
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19K19261
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
喜田 壮馬 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40822515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顎変形症 / 気道 / 流体解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎矯正手術による顎骨の移動は、硬組織や軟組織の形態変化による咀嚼機能や審美性の改善のみならず、鼻呼吸機能についても影響を与える。顎骨移動により咽頭が狭窄すると、睡眠時無呼吸(OSA)のリスクが高まると報告されている。顎矯正手術が睡眠呼吸障害を引き起こす原因となるという明確なエビデンスはないが、手術によって下顎を後退させることによって術後に上気道径が狭くなることは明らかであるため、鼻腔や中咽頭・下咽頭気道の狭窄とOSASに関する報告は多くなされている。気道狭窄による通気障害は鼻腔から下咽頭にかけてどの部分でも原因部位となり得るが、上咽頭部に関しては詳細な検討が未だ行われていない。 そこで本研究では、上咽頭部の狭窄が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすること、治療計画に反映させることを目的に、計算流体力学(CFD)を用いて解析を行った。 その結果、術前に比べ術後の圧力損失は減少した。上咽頭部の変化は比較的圧力損失に影響を与えないと考えられた。上咽頭部の断面積は鼻腔断面積よりも大きく、また断面積形態も細く複雑な鼻腔部分に比べて咽頭部は円管に近いこともあり、同等の顎骨移動による影響が少ないと考えられる。つまり上顎骨の後上方移動が上咽頭に与える影響は、鼻腔に比べて少ないと言える。また咽頭部に関して断面積の変化率を算出したところ、変化率が1に近いものの圧力損失が小さかった。よって、通気状態を悪化させないためには、乱流が起きないよう形状を直管に近づければよいので、気道径は気道全体を通して均一にするようにするのが望ましいと考えられる。 従って現行の手術方法は、機能面においても妥当な手術計画であると考えられ、望ましい気道形状に関しても流体力学的観点から知見が得られた。
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Research Products
(1 results)