2019 Fiscal Year Research-status Report
骨基質小胞中microRNAによる骨代謝調節機構の解明と効率的歯牙移動への応用
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19K19268
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中尾 裕子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 研究員 (50806685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | miR-125b / miRNA / 基質小胞 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨芽細胞から基質小胞を介して骨基質内に保存され破骨細胞形成を抑制するmicroRNA-125b (miR-125b)の機能に着目し、 骨芽細胞特異的 miR-125b 過剰発現トランスジェニックマウス (miR-125bTgマウス)由来の骨芽細胞を用いて骨芽細胞形成における miR-125b の影響を明らかにし、 miR-125b の骨リモデリングにおける機能を解明することを目的としている。 miR-125bTg マウスならびに野生型 (WT) マウスの脛骨及び大腿骨由来の骨髄間葉系細胞 (MSCs) を骨分化培地にて培養して比較したところ、TgおよびWTの骨形成能や、ALP活性、ALPLおよびANXA5の発現レベルに差は認められなかった。しかしながら、培養した骨基質中から単離した基質小胞(MVs)において、WT由来と比較してTg由来のMVsで高いmiR-125bの発現レベルを示した。 また新生児マウスの頭蓋冠由来の骨芽細胞においても同様に、TgとWTでは骨形成に差は認められず、Tg由来のMVsにおいてmiR-125bの高い発現が認められたことから、miR-125bは骨芽細胞には影響を与えず、分泌されたmiR-125bの大部分がMVsを介して骨基質に隔離されていることが推察された。 また、Col1a1-Creマウス(ホモ)とRosa-Lyn -Venusマウス(ホモ)を作成し、これらを交配してCol1a1-Lyn-Venusマウスを作出した。このマウスとmiR-125boblTgマウスを交配することでmiR-125bobl/Col1a1/Lyn-Venusマウス(ホモ)の作出に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作成した miR-125bobl/Col1a1/Lyn-Venusマウスの頭蓋骨より骨芽細胞を回収し、コラゲナーゼ消化により培養してSV40T抗原組換えレンチウイルスに感染させた。現在は不死化細胞樹立のための培養を継続しており、miR-125bリッチなVenus陽性基質小胞を放出する骨芽細胞株の樹立を目指している。樹立した骨芽細胞株を用いて大量培養を行い、基質小胞を単離する。それらの基質小胞を破骨細胞株RAW-D cellsおよび骨芽細胞株MC3T3-E1へ添加・培養する。破骨細胞と骨芽細胞への影響をリアルタイムPCRとWesternblot解析を用いて評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したmiR-125b/Col1a1/Lyn-Venusマウス骨芽細胞を大量に培養し、Venusで標識されたmiR-125bリッチな基質小胞(miR-125b/Venus+基質小胞)を大量に作成する。 8週令のmiR-125bTgマウスおよびWTのマウスの第一大臼歯(M1)に10gfの牽引力を加える歯牙移動モデルマウスを作成し、μCTにて経時的な歯の移動及び歯槽骨の解析を行う。また、歯周組織を摘出して組織切片を作成し、HE染色やTRAP染色にて破骨細胞および骨芽細胞への組織学的影響を確認する。 また、WTの歯牙移動モデルマウスのM1遠心歯根膜腔へmiR-125b/Venus+基質小胞を一定期間連日投与し、μCTにて経時的な歯の移動及び歯槽骨の解析を行う。さらに、歯周組織を摘出して組織切片を作成し、HE染色やTRAP染色にて破骨細胞および骨芽細胞への組織学的影響を確認すると共にデジタル蛍光顕微鏡を用いて標識したmiR-125b/Venus+基質小胞の分布を評価することで、基質小胞の歯牙移動への影響を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度で計画していたmiR-125b/Col1a1/Lyn-Venusマウスの不死化骨芽細胞の作成がいまだ完了しておらず、細胞株を用いた実験を今年度に持ち越したため。
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Research Products
(1 results)