2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脱落乳歯幹細胞を活用した自閉スペクトラム症と概日リズム障害の病態解明
Project/Area Number |
19K19271
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高山 扶美子 九州大学, 大学病院, 助教 (20795950)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 時計遺伝子 / 自閉スペクトラム症 / 概日リズム障害 / ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト脱落乳歯由来歯髄幹細胞(SHED)は、乳歯から単離した多分化能をもつ間葉系幹細胞である。本研究は、歯髄からSHEDを調製して神経細胞へ分化させ、serum shockを与えることで時計遺伝子の同調を行い、RNAを抽出して時計遺伝子の発現パターンを比較することで、自閉症と睡眠障害との関連を解明することを目的とする。 当初の研究計画通り、健常児と自閉症児各5名の歯髄幹細胞を採取した。採取した歯髄幹細胞を調整して神経細胞へと分化させた。その分化させた神経細胞の培養を行い、serum shockを与えて時計遺伝子を同調させた。4時間おきに細胞を回収してRNAの抽出を行い、時計遺伝子の発現パターンを比較した。しかしながら、時計遺伝子の発現量が安定せず、自閉症のみらならず健常児においても、現時点で安定した発現リズムが得らなかった。そこで、同サンプルを用いて、網羅的解析を行った。網羅的解析にはCAGE(Cap Analysing of Gene Expression)法を用いた。結果、健常児と比較して、自閉スペクトラム症のサンプルにおいて、Bmal 1等の時計遺伝子の発現量が有意に低下していることが明らかになった。しかしながら、サンプル間のばらつきがみられ、その下流の遺伝子の有意差は明らかになっていないため、サンプル数を増やしてさらなる詳細な解析が必要であった。また、当初の計画通り、時計遺伝子の発現リズムを確立できていないため、今後は発現リズムを確立させ、最も有意差がみられた時間でのサンプルを用いてCAGEを行っていく予定である。
|