2019 Fiscal Year Research-status Report
Rett症候群に対するヒト乳歯由来幹細胞を活用した病態解明及び創薬基盤の開発
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19K19272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣藤 雄太 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80759746)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 歯髄幹細胞 / SHED / Rett症候群 / ドーパミン作動性神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rett症候群患児乳歯歯髄より調整したSHEDからクローニングした正常型MeCP2発現SHEDと異常型MeCP2発現SHEDを活用し、Rett症候群の病因と考えられる神経細胞の発育障害とミトコンドリア機能の関係を解明する。 (1) MeCP2遺伝子変異によるミトコンドリア機能低下に対する解析: ミトコンドリア内の何が原因で活性(膜電位)が低下しているか、また転写抑制因子であるMeCP2の標的となるミトコンドリア関連因子について解析し、Rett症候群発症に関与するミトコンドリアを制御する新規因子を明らかにする。 ・ミトコンドリアの数、ミトコンドリアの転写能について解析するため、ミトコンドリアDNA量・tRNA量をqPCRで測定し解析中である。また、Rett症候群の発症に関与するミトコンドリア関連因子を探索するため、ミトコンドリア活性制御因子とミトコンドリア局在制御因子の発現量をqPCRで測定し、現在結果に対して検討中である。 (2) 脳由来神経栄養因子(BDNF)補充による神経細胞発育障害の回復とミトコンドリアへの影響の解析 ・BDNF補充後の樹状突起伸長・分岐能が回復するかを明らかにするため、β-Tubulin III抗体で細胞免疫染色を行い樹状突起の伸長と分岐を計測した。また、異常型MeCP2発現SHEDを神経細胞に分化させる際にBDNFを添加し、異常型MeCP2神経細胞の発育障害を回復させることができるかどうか細胞形態やサイズについて確認し、その時のミトコンドリアの機能について現在確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異常型MeCP2発現SHEDから分化させたドーパミン作動性神経細胞に脳由来神経栄養因子(BDNF)補充によるミトコンドリアへの影響解析において、BDNFがミトコンドリアの機能を向上させるという仮説をたてていたが、検証の過程で追加の実験が必要となったためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在検証中の実験について結果をまとめる。 遺伝子修復によるRett症候群の創薬基盤の開発を行う:ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療 (遺伝的バックグラウンドの均一性確保) 方法として、MeCP2遺伝子は4つのエキソンを有する。本研究で用いる異常MeCP2 遺伝子の欠損領域がexon3とexon4の一部であることを同定しており、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術を用いて、異常型MeCP2遺伝子の欠損部位に正常なMeCP2のexon3とexon4を挿入し遺伝子を修復・正常化し、 MeCP2の機能及び治療効果を比較検討する
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Causes of Carryover |
既存の資料・試薬と実験器具と最小限の実験回数で対応できたため、当初の予定より少ない金額で実施できた。残額は次年度に追加の実験や消耗品など必要機器の購入また、論文の作成や成果の発表に使用する予定。
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